「自衛隊を中東に派遣する場合の法的根拠は、武力攻撃事態・存立危機事態法や海賊対処法、国際平和支援法など5つの法律がある。今回のケースはどれも適用するのが困難で、本来は新たな特別措置法を国会で定める必要があった。
しかし、安倍政権は国会での議論を嫌う傾向が強く、国会の議決がいらない閣議決定だけで派遣した。議会制民主主義を完全に否定するやり方と言えます」
前回のイラク派遣をめぐっても、安倍政権による自衛隊の日報隠しが問題化した。その後、大部分が黒塗りで公表された日報には、「非戦闘地域」とされた派遣地域で「戦闘」や「銃撃戦」などの記述が複数箇所あった。
それについても、安倍首相は〈「一般的、いわば国語辞典的な意味での戦闘」は、自衛隊法等において(中略)定義されている「戦闘行為」とは異なるものである〉〈政府としては、自衛隊が(中略)対応措置を実施してきた区域については、(中略)「戦闘行為」が行われることがないと認められる地域に該当していたと考えている〉と閣議決定している。
国民に情報を隠し、国会の論点をずらし、政権の方針に逆らう異論を許さない。数々のトンデモ閣議決定は、この政権の独善的本質を物語っている。
※週刊ポスト2020年2月7日号