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森ビル・辻慎吾社長「世界と戦える東京」を創りたい

虎ノ門ヒルズのオープン初日(写真/AFP=時事)

◆都市には「テーマ」が必要

──近年の大きなプロジェクトは?

辻:昨年8月に「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が着工しました。総事業費は約5800億円。東京・港区虎ノ門と麻布台にまたがる約8.1ヘクタールの広大な敷地に、3棟の超高層ビルを配棟し、2023年に竣工予定です。

 我々の都市開発には常にテーマがあります。──六本木ヒルズ(2003年竣工)では、“文化都心”というコンセプトを掲げ、最上階に美術館を入れました。ニューヨークやロンドン、パリなど世界の主要都市に見られるような文化の中心地を東京にも作りたいと考えた。

 虎ノ門ヒルズ(2014年竣工)には、虎ノ門をビジネスの中心地として復活させたいという思いを込めました。虎ノ門は古くからのビジネス街ですが、老朽化したビルが多く、成長する企業が他のエリアに出ていってしまった。虎ノ門ヒルズを創ったことで、この街に大企業が戻ってきました。虎ノ門はグローバルなビジネスセンターになれる潜在力があるので、今後もビジネス機能を中心に街づくりを進めていきます。

 そして今回の麻布台は、六本木と虎ノ門の間に位置するため、文化とビジネス、両方の要素を取り入れた施設を作ろうと思っています。大使館が非常に多く、外国人居住者も多い場所なので、インターナショナルスクールや外国人が家族で生活できる場も整える予定です。

 開発コンセプトは「モダン・アーバン・ビレッジ~グリーン&ウェルネス~」。これまでアークヒルズや六本木ヒルズでも緑地を創ってきましたが、現在、地球規模で環境問題が議論されているなかで未来の街づくりには緑が不可欠だと考え、緑地面積を2.4ヘクタールも確保しています。

──常々、世界の都市間競争に負けない街づくりを掲げている。

辻:「住・職・遊・学」などの様々な都市機能がコンパクトに複合する街を核とした都市づくりを目指した答えが「ヒルズ」でした。

 都心でコンパクトシティを実現するために、建物を集約・高層化しつつ、地上には豊富なオープンスペースや緑を配置する「ヴァーティカル・ガーデン・シティ」の手法を採っています。「虎ノ門・麻布台プロジェクト」も高さが話題になりましたが、広大な緑地を実現する手段として、330mの超高層タワーが必要でした。建物の配置も、まず緑や人の流れを考え、空いたところにタワーを配置するという、通常とは全く逆の発想です。

 森ビルのような思想で街をつくっていくディベロッパーは、世界にほとんどありません。

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