少しずつ事件に向き合い始めた優里だったが、同時に雄大への激しい怒りがこみ上げる。結愛ちゃんの命日である2019年3月2日の日記にはこう書かれている。
《1年前のこの日、病院で医師に結愛の死の宣告を受けた時、気がサーッと遠くなって、体がどさっと崩れ落ちた。そこを、あいつが抱きとめて、どうにか気を保っていた私に、「死ぬなよ」と言った。あの人はずるい。私が「死ぬ」と思うんだったら、どうしてこんなことしたの。(略)もうあの人の言うことを聞いてはいけない》
ノートの執筆当初は、「彼」と表現されていた雄大の人称が、いつしか「あいつ」「あの人」に変わっていた。
4月11日、優里のもとに雄大からの離婚届が届いた。離婚届自体は、2018年11月の段階で雄大に送っていた。ようやく離婚が成立した。
もう後悔したくない。彼女が、来る裁判に向けようやく覚悟を決めたのは7月のことだった。
《弁護士先生に今までのことをすべて話す決断をした。(略)この1年間、死のうとしていたこと、辛かったこと、自分の本音、自分の思ったこと、感じたこと。ずっと誰にも言わずに黙ってきた。話しても無駄だと思っていたから》
優里の本音に接した弁護士は涙を流しこう言ったという。
「あなたの荷物は一人で持つには重すぎる。あなたの悲しみや辛さという荷物を持たせて。私は非力だけど、こういう荷物を持つのは得意なの」
※女性セブン2020年2月20日号