ビジネス

武蔵小杉のタワマン住民が川崎市に水害対策要望書、その是非

2019年10月の大型台風で浸水被害などに遭った武蔵小杉のタワマン群(時事通信フォト)

2019年10月の大型台風で浸水被害などに遭った武蔵小杉のタワマン群(時事通信フォト)

 2019年10月の大型台風により浸水被害に遭った武蔵小杉(神奈川県川崎市)のタワーマンション。現在も一部のタワマンでは、地下にある機械式駐車場が故障したままの状態が続くなど、完全復旧には至っていないという。そんな中、同エリアのタワマンが管理組合の連名で川崎市に水害対策を求める要望書を出したが、住宅ジャーナリストの榊淳司氏は、こうしたタワマン住民の行動や要望書の内容に疑問を呈する。その理由とは?

 * * *
 昨年10月に襲来した台風19号によって、とりわけ関東から甲信越、東北地方には大きな被害がもたらされた。住宅の全壊は全国で3225棟、半壊は2万8881棟に及んでいる。

 そんな中、神奈川県川崎市の武蔵小杉周辺でも内水氾濫で道路が冠水。2棟のタワーマンションで浸水被害が生じた。

 中でも駅前エリアにある47階建ての1棟は、地下3階に設けられていた電気室が冠水。建物への電力供給が途絶した。エレベーターがまったく使えなくなったのはもちろん、汚水を排出するポンプも動かなくなった。つまりは、各住戸でトイレが使えなくなったのである。

 このマンション、いまだに完全には復旧していないと伝えられている。実際に今、どういう状況なのかよく分からない。なぜ分からないのか?

 台風通過直後、武蔵小杉駅周辺のタワマンに浸水被害が出たらしいという情報はネット上で瞬く間に拡散した。真偽の程はともかくとして「汚水が室内に逆流した」的な情報などが入り乱れた。

 当然、多くのメディアが注目して取材に駆けつける。しかし、この47階建てのタワマン管理組合は住民に厳重な「かん口令」を発するとともに、メディアからの一切の取材を拒否した。

 武蔵小杉のタワマンの多くは敷地の一部が公開空地になっている。マンション外の人が利用したり通行したりすることを拒まないのが基本。しかし、このマンションでは被害直後、住民以外の人間が公開空地に入ることさえ拒絶したという。

 その後、電力供給等は次第に回復して住民たちの暮らしは徐々に正常化していったそうだ。ただ、先日伝えられたところでは、地下の駐車場はまだ使用不能だという。雨水と汚水によって浸水したと伝えられる地下部分は、まだ洗浄や消毒が完全でないのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏(共同通信)
《“保守サーの姫”は既婚者だった》参政党・さや氏、好きな男性のタイプは「便利な人」…結婚相手は自身をプロデュースした大物音楽家
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン
松嶋菜々子と反町隆史
《“夫婦仲がいい”と周囲にのろける》松嶋菜々子と反町隆史、化粧品が売れに売れてCM再共演「円満の秘訣は距離感」 結婚24年で起きた変化
NEWSポストセブン
注目度が上昇中のTBS・山形純菜アナ(インスタグラムより)
《注目度急上昇中》“ミス実践グランプリ”TBS山形純菜アナ、過度なリアクションや“顔芸”はなし、それでも局内外で抜群の評価受ける理由 和田アキ子も“やまがっちゃん”と信頼
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
《実は既婚者》参政党・さや氏、“スカートのサンタ服”で22歳年上の音楽家と開催したコンサートに男性ファン「あれは公開イチャイチャだったのか…」【本名・塩入清香と発表】
NEWSポストセブン
中居、国分の騒動によりテレビ業界も変わりつつある
《独自》「ハラスメント行為を見たことがありますか」大物タレントAの行為をキー局が水面下でアンケート調査…収録現場で「それは違うだろ」と怒声 若手スタッフは「行きたくない」【国分太一騒動の余波】
NEWSポストセブン
かりゆしウェアのリンクコーデをされる天皇ご一家(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《売れ筋ランキングで1位&2位に》天皇ご一家、那須ご静養でかりゆしウェアのリンクコーデ 雅子さまはテッポウユリ柄の9900円シャツで上品な装いに 
NEWSポストセブン
定年後はどうする?(写真は番組ホームページより)
「マスメディアの“本音”が集約されているよね」フィフィ氏、玉川徹氏の「SNSのショート動画を見て投票している」発言に“違和感”【参院選を終えて】
NEWSポストセブン
スカウトは学校教員の“業務”に(時事通信フォト)
《“勧誘”は“業務”》高校野球の最新潮流「スカウト担当教員」という仕事 授業を受け持ちつつ“逸材”を求めて全国を奔走
週刊ポスト
「新証言」から浮かび上がったのは、山下容疑者の”壮絶な殺意”だった
【壮絶な目撃証言】「ナイフでトドメを…」「血だらけの女の子の隣でタバコを吸った」山下市郎容疑者が見せた”執拗な殺意“《浜松市・ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
【体にホチキスを刺し、金のありかを吐かせる…】ルフィ事件・小島智信被告の裁判で明かされた「カネを持ち逃げした構成員」への恐怖の拷問
NEWSポストセブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン