ライフ

11人の子を産んだ助産師が教える、義母や実母との付き合い方

かつてと常識は変わってきている(イラスト/すぎやまえみこ)

 大阪・阿倍野区にある『助産院ばぶばぶ』院長で助産師のHISAKOさんは自らも11人の子を産んだ肝っ玉母さん。全国から彼女のもとへと駆け込む母親の数は約5万人にも上る。少子化が心配される昨今、HISAKOさんに今どきの“がんばらない”子育てを聞いた。

◆育児の昔と今

 そもそも昔と今では育児の常識も変わってきている。

「以前は生後2か月後の赤ちゃんには沐浴後に白湯や果汁を与えるというのが定説でしたが、最近は生後半年頃までは与える必要はなく、母乳やミルクだけで育てましょうといわれています」(HISAKOさん・以下同)

 そもそも離乳準備食として果汁を与え始めたのは粉ミルクが販売され始めた頃のこと。当時はまだ粉ミルクの成分は牛乳に近く、鉄分やビタミンCが不足していたため、壊血病や鉄欠乏に陥りやすいといわれていたそう。

「そのため、果汁でビタミンCを補充して鉄の吸収を助けていましたが、その後、粉ミルクも改良を重ねて今では果汁を補う必要もなくなったのです」

 ほかにも、授乳前に乳首を清浄綿で拭くという指導にも変化が…。

「最近の研究により、母乳自体に殺菌作用があるので、おっぱいについている雑菌を清浄綿で拭く必要がないということがわかりました。母乳には殺菌成分が入っており、特に飲ませ終わり頃に多く分泌されます。

 殺菌成分が付着した状態で次の授乳をすることにはちゃんと意味があるんですね。さらに母乳に含まれる脂肪分は、乳首や乳頭の皮膚に脂の保護膜を張って守ってくれる役割もあります」

 育児の悩みのほか、浮上するのが“義母をどうしても好きになれない”“自分の母親との距離感がわからない”という人間関係の悩み。

「義母関係で多いのは近所に住んでいる義母がアポなしで週に何回も押しかけてきて、育児だけでも大変なのに掃除をしたりと気を使って疲弊してしまうというケース。実母の場合はお互いに近すぎて言いたいことを言えるという存在なだけにトラブルも勃発しやすく、親子関係に溝が生じてしまう場合もあります」

 そんな悩みに対し、HISAKOさんは「ただひたすら聞く」という姿勢に徹しているという。

「それがよいかどうかのジャッジはせず、悩みを聞いて共感するようにしています。話をする、共感してもらう相手を見つけることでお母さんたちの悩みも軽減されます」

 最後に、育児に悩む母親たちにHISAKOさんからひと言。

「子育ての秘訣はなんでも楽しんでしまうこと。育児書に書いてあることで“こうあるべき”とがんじがらめにならず、自分のペースでのんびり子育てをしていきましょう」

※女性セブン2020年2月20日号

院長のHISAKOさん(中央)の元には、多くの母子が訪れる(写真提供/助産院ばぶばぶ)

関連キーワード

関連記事

トピックス

「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
相撲協会と白鵬氏の緊張関係は新たなステージに突入
「伝統を前面に打ち出す相撲協会」と「ガチンコ競技化の白鵬」大相撲ロンドン公演で浮き彫りになった両者の隔たり “格闘技”なのか“儀式”なのか…問われる相撲のあり方
週刊ポスト
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《「策士」との評価も》“ラブホ通いすぎ”小川晶・前橋市長がXのコメント欄を開放 続投するプラス材料に?本当の狙いとは
NEWSポストセブン
女性初の首相として新任会見に臨んだ高市氏(2025年10月写真撮影:小川裕夫)
《維新の消滅確率は90%?》高市早苗内閣発足、保守の受け皿として支持集めた政党は生き残れるのか? 存在意義が問われる維新の会や参政党
NEWSポストセブン
滋賀県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月25日、撮影/JMPA)
《すぐに売り切れ》佳子さま、6万9300円のミントグリーンのワンピースに信楽焼イヤリングを合わせてさわやかなコーデ スカーフを背中で結ばれ、ガーリーに
NEWSポストセブン
注目される次のキャリア(写真/共同通信社)
田久保真紀・伊東市長、次なるキャリアはまさかの「国政進出」か…メガソーラー反対の“広告塔”になる可能性
週刊ポスト
送検のため奈良西署を出る山上徹也容疑者(写真/時事通信フォト)
《安倍晋三元首相銃撃事件・初公判》「犯人の知的レベルの高さ」を鈴木エイト氏が証言、ポイントは「親族への尋問」…山上徹也被告の弁護側は「統一教会のせいで一家崩壊」主張の見通し
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン