出会った頃、沙知代婦人は会社経営者。互いに別に家庭を持つ”禁断の恋”の始まりだった

 外出する際、部屋の明かりを消さないのは、真っ暗で静まり返った家に帰りたくないからだという。

 一方で《痛みや苦しみがなく、眠るようにして亡くなった女房は最高の死に方でした。俺も苦しまずに逝きたいね》(同前)とも語っていた。

 沙知代夫人も野村さんも、死因は虚血性心不全。長い闘病期間や、つらい入院生活もなかった。夫婦揃って「自宅でピンピンコロリ」という死に方で、同じようにしてこの世から旅立った。

 野村さんは沙知代夫人を荼毘に付す直前、亡骸に話しかけた。自著にはこうある。

《どうしても聞いてみたいことがあったのだ。
「幸せだったか」
思わず声が出てしまった。
当たり前だが、何も答えてはくれなかった》(野村さんの著書『ありがとうを言えなくて』より)

 声は聞こえなくても、その答えは野村さん自身がよく知っていたはずだ。来世、再び運命に引かれて巡り合い、一緒になるまでの短い時間を、今はゆっくりと過ごしてほしい。

※女性セブン2020年2月27日号

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