「野村さんは見出しになる言葉をわかっていた。『マー君、神の子、不思議な子』は短くて、そのまま使える。記者にとって本当に有難いことなんです。最近はそういう監督がいないですね。巨人の原辰徳監督は会見拒否こそしないですが、質問をなぞるような実質的に何も答えていないようなコメントも多いですし、こちらが意味を解釈するのに苦労することもある。そういう意味では、DeNAの中畑清前監督はサービス精神旺盛でネタに事欠かず、とても助かりました。ただ、しゃべりが間延びしがちで、見出しになるような言葉はあまりなかった」
2000年代後半、巨人戦の地上波中継が激減し、スポーツニュースで野球が取り上げられる時間も減っていた。それでも、野村さんのボヤキは欠かせないコンテンツとして人気を集めた。
「野球人気はプレーだけじゃなくて、監督や選手の発する言葉からも得られる。最近は語れる野球人がほとんどいない。解説者の中に、野村さんのようにしゃべりで魅了できる人間が果たしているのか。野村さんは45歳から本格的に読書を始めて、話術に磨きをかけたわけですから、努力次第で何とかなるはずです」
球界にしゃべりでファンを惹き付ける“ノムラ2世”の誕生を待ちたい。