国内

“体罰は有害”の科学的根拠明確に、祖父母は見守り役に!

抱きしめて安心させる。これ以上の“しつけ”はない(Ph:Getty Images)

 今年4月に「改正児童虐待防止法」と「改正児童福祉法」が施行され、体に苦痛や不快感を与える罰は、たとえ、しつけのためでも禁止となると伝えられた。

 これは“愛の鞭”であったとしても、体罰はいけないと多くの親に知らされる機会となった。

 しかし、いくら親たちが考えや行動を改めても、祖父母や義父母が、自分たちが正しいと思い込んでいるしつけを押しつけてくるケースもある。彼らは、自分たちのしつけで、子供が立派に育ったという自負がある。この場合、彼らにどのように注意を促したらよいか。その悩みに、“子ども心理”に詳しい山梨県立大学教授の西澤哲さんはこう提案する。

「ここ数十年で、児童心理学や精神医学の研究が進み、体罰は子供に有害であるという科学的根拠が明確になりました。ですから祖父母にも、子供が泣いたときは、叱りつけるのではなく、抱きしめて、なるべく触れ合う提案をしてみてください。

 かわいい孫に触れられるのは、祖父母にとってもうれしいことのはず。そうすれば、子供にとって祖父母も安心感を与えてくれる大切な存在となり、大好きな祖父母の言うことならばと、自然に言うことを聞くように育ちますから」

 また、児童相談所で両親以上に孫育てに熱心な祖父母とも接してきた、子どもの虹情報研修センター長・川崎二三彦さんはこう話す。

「多くの祖父母は通常、一歩引いてお子さんの成長を見守っています。口出しをしたくても、子供の両親がそれを止めるケースも多く、最終的に多くの祖父母は親の子育てを尊重します。ところがなかには、“あなたたちのやり方はダメ。こうしなさい!”などと口出しをして、育児の主導権を握ろうとする祖父母がいるのも事実です」

 親が明らかに体罰や虐待をしているわけではないなら、祖父母は口出しをしない方がいい。

「親世代と祖父母世代では、自ずと子育ての役割は違います。父母が子供を育てるという形が崩れてしまうと、子供は誰の言うことを聞いたらよいのかわからなくなったり、自分の都合で親と祖父母を使い分けたりします。祖父母は経験が豊富な“育児の名誉顧問”として、両親と孫の成長を温かく見守ってあげてください」(川崎さん)

 祖父母が、孫だけでなく、新米ママやパパを見守るのも、自分の子供への“最後のしつけ”の一環なのかもしれない。

※女性セブン2020年3月5日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン