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中江滋樹氏 584億円詐欺から家賃4.8万円部屋で孤独な最期

原因は寝タバコだったという(写真/共同通信社)

 性別不明の焼死体は、伝説の相場師だった。2月20日早朝、東京都葛飾区の木造2階建てアパートの一室から出火し、焼け跡から遺体が発見。

「損傷が激しく、警視庁が身元の特定作業を進めたところ、かつて『兜町の風雲児』と呼ばれた投資家、中江滋樹氏(66)であることが判明しました」(全国紙社会部記者)

 中江氏は1978年にコンサル会社「投資ジャーナル」を設立し、投資関連雑誌を次々に創刊。1980年代に一世を風靡したが、1985年に投資家約7800人から総額584億円を集めた詐欺事件で逮捕、懲役6年の実刑判決を受けた。

「出所後はしばらく行方不明でしたが、近年は夕刊紙で過去を振り返るインタビュー連載に登場するなど、再びメディア露出がありました」(同前)

 中江氏の住むアパートは6畳一間で家賃は4万8000円。近所付き合いは少なかったという。死の直前まで親交のあったジャーナリストの比嘉満広氏が語る。

「出所後しばらくは投資ジャーナル時代の部下が資金援助をしていたのですが、ここ数年はそれも途絶えて、生活保護を受給していました。ただ相場への興味は失われておらず、パソコン3台を使って原油や地金など、世界中の相場を毎日見ていた。自身でチャートを書いて、『これを見れば世界が分かる』とよく話していました」

 中江氏には離婚した妻との間に5人の子供がいるが、家族と連絡を取ることはなかったという。

「自分のような者が近づくと申し訳ないと、自ら一線を引いていました。かつて親しくしていた企業社長たちに対しても同じです。『スポンサーがいれば必ずひと山当てられる』と話していましたが、自分から資金を求めることはなかった」(同前)

 火の消えたような余生を送っていた男の、寂しい人生の終幕だった。

※週刊ポスト2020年3月13日号

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