山口さんの母の在宅医だった山中さん(撮影/横田紋子)
山口:言ってもわからないから、聞くしかありません(笑い)。でも、100万円の指輪を買ってほしいと言われたら困るけど、『あれが食べたい』『これは嫌だ』という程度なので。
山中:山口さんはそうおっしゃるけど、ご家族がずっと介護をされていると、やっぱり大変なことも多いですし、当然、介護疲れも出てきます。
山口:私は専業作家になって、ある程度時間も経済的にも余裕ができたのが大きいと思います。食堂に勤めていた頃は、ちょっとした言動でキーッとなったこともしょっちゅうでした。ただ母は、独身の娘と息子と同居していて、家族仲がとてもいいんです。そんな環境で甘えてしまうのは仕方がなくて、ケアマネさんも「実の娘さんと暮らしているかたは、どうしてもわがままになるんです」って(笑い)。
山中」介護って長丁場。ご家族にはいつも、「ある程度のいい加減さが必要」とお話ししています。そのいい加減な部分を、外部の介護者によるサービスで支えてもらうことが大事。私が担当するかたの多くがひとり暮らしです。遠く離れたご家族が時々来るけど、認知症で寝たきりのこともある。でも介護サービスを上手に使えば、うまく在宅で過ごせるんです。
※女性セブン2020年3月19日号