「同期の松坂と投げあいたい」と語る
和田は、いわゆる“松坂世代”の一人である。実に、94名のプロ野球選手を輩出した黄金世代も、残るNPB現役選手はわずか5人。当然、和田本人にも、選手として残された時間が多くない自覚はある。
「この年齢なので、いつでも引退する覚悟はできています。今年が最後かもしれないし、結果を残せればもう1年、もう2年と続けられるかもしれない。そこは自分でもわかりません。だからこそ、悔いのないように毎日を過ごしたい。自分が納得した準備をしてシーズンに臨みたいんです」
和田には今季「先発ローテを守る」という目標の他に、もう一つ実現させたいことがあるという。それは、同学年の松坂大輔(埼玉西武ライオンズ)と公式戦で先発として投げ合うことだ。
「今年から同じパ・リーグですからね。そこは、めぐり合わせもあるし、自分ではコントロールできないことだけど……なんとなく実現するような予感はしています(笑い)」
球界を代表するベテラン投手の1人として。ホークス投手陣を支える若手の見本として。彼はまだまだ欠かせない存在である。
カットボールの取得は断念したそう
今ではチーム最年長に
【プロフィール】わだ・つよし/1981年、愛知県生まれ。島根・浜田高時代に夏の甲子園大会へ2度出場。早大では、江川卓の持つ東京六大学野球の通算奪三振記録を塗り替える476奪三振をマーク。2002年に福岡ダイエーホークス入団。プロ1年目から先発ローテーション投手として活躍、エースへ成長する。2012年、MLBボルチモア・オリオールズへFA移籍。2016年から日本球界に復帰し、いきなり最多勝のタイトルを獲得した。今年2月に初の単独著書となる『だから僕は練習する――天才たちに近づくための挑戦』(ダイヤモンド社)を上梓した。
●取材・文/田中周治 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2020年3月20日号