◆「防御率」VS「己の勝ち星」
森高:じゃあ浜口さんは、ご自身の「防御率」と「勝ち星」だと強いて言うならどちらが大事ですか?
浜口:う~ん……僕は防御率ですかね。
森高:やはり今のピッチャーの方々はそうなんですね。
浜口:そうですね。それこそ投手分業制というか、先発は「6回3失点」というラインが基準になっていて。仮にそこで自分に勝ち負けがつかなくても、先発の役割としてある程度の評価はされますね。だから防御率かな……あとはむしろ「勝ち」ではなく「負け」の数を意識します。いかに自分がチームの貯金を作れているかを考えますね。
森高:じゃあもし浜口さんの先発試合で、スコアは4対3で浜口さんが相手を3点に抑えたまま6回で降板する、つまり1点リード。でも6回で3点は取られた。その場合の達成感はどうですか?
浜口:その時点でチームが勝っているのであれば、交代になっても納得は出来ますね。逆に3対4で負けている場合は、もう1イニングは行きたいですね……1点差なら、もう1回投げれば味方が逆転してくれる可能性はあるわけじゃないですか?……うーん、そう考えると自分は勝ち星に拘っている気がします(笑)。
森高:じゃあ例えば、浜口さんの先発試合でチームは勝っていて、浜口さんは勝ち投手の権利を得た直後の回に、代打を出され途中交代となる。すると次に登板した味方ピッチャーが打たれて浜口さんの勝ち星を消されてしまう──ということがあるじゃないですか? ひと昔前の先発ピッチャーなら、自分の勝ち星を消されたら「この野郎!」みたいな思いを抱く方が多かったような気がするんですが、浜口さんはいかがですか?
浜口:あ~どうなんですかね……僕はそんな感じないですね。逆もけっこう、僕の場合は多いんで。つまり、先発で打たれて早いイニングで交代してしまい、中継ぎ投手陣に負担をかけている場合も多いんで(笑)。それはお互い様だと。
実力抜群なのに、なぜか「勝ち運」がないことを思い悩む主人公たち(『ハーラーダービー』より。(C)森高夕次・水上あきら/小学館)