◆「勝ち星」は「運」という割り切り方

森高:僕は昔のほうが今よりも自分の勝ち星に拘るピッチャーが多かったような気がするんです。勝ち星への執念というか……。
浜口:どうですかね……今は自身の勝ち星よりも、最終的にチームの勝利を最優先に考えるほうが多いかもしれませんね。あるいは投手分業制による各々の役割をこなしたり、別の方向に意識がシフトしてますね。
森高:やっぱり勝ち星がつくのは「運じゃないか」っていう割り切り方が、今のピッチャーのほうがあるんですかね?
浜口:それはかなり強いと思います。やはりピッチャーの勝ち負けというのは、自分で操作できない部分が大きいので。
森高:僕が今回描こうとしてるのは非科学的というか、野球の試合における「流れ」を人間の力でコントロールして勝ち星を挙げようという漫画だから、ちょっとSFがかってるんです。
浜口:でも究極のピッチャーってそういうことだと思います。試合を自分でコントロールできるっていうのは一番凄いピッチャーですよね。
森高:今、僕が描いている『グラゼニ~パ・リーグ編~』(週刊モーニング連載中)では、先発投手は勝ち星はともかく、まずは6回3失点でいいじゃん、という割り切り方をしています。それが今の野球じゃないか、というテーマで。でも『ハーラーダービー』では、その流れに逆らって「投手にとっては自身の勝ち星が第一だ」と。
浜口:なるほど。出来れば『ハーラーダービー』では、「投手が試合を支配する感覚」……みたいなものを読んでみたいです。自分にとっても何かのヒントになるかもしれないです。
森高:頑張ります。浜口選手もシーズンのご活躍、期待してます!
浜口:ありがとうございます、頑張ります!

「ピッチャーの勝ち負けは自分で操作できない部分が大きい」と語る

「ピッチャーの勝ち負けは自分で操作できない部分が大きい」と語る

【プロフィール】
◆浜口遥大(はまぐちはるひろ、浜口の「浜」は正式には「濱」の異体字)/1995年3月16日生まれ佐賀県出身。横浜DeNAベイスターズに所属する左腕投手。2016年ドラフト1位で入団。初年度からいきなり二桁勝利を挙げる。同年の日本シリーズでは、ソフトバンク相手に8回1死まで無安打無得点の快投を見せ、新人特別賞を受賞。

◆森高夕次(もりたかゆうじ)/1963年長野県生まれ。スペリオールでの前作は『江川と西本』(画/星野泰視)。『グラゼニ』で第37回講談社漫画賞を受賞し、現在は『グラゼニ~パ・リーグ編~』を連載中。また、コージィ城倉名義で『プレイボール2』『キャプテン2』も連載中。

※ビッグコミックスペリオール8号(2020年3月13日発売号)より

関連キーワード

関連記事

トピックス

オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
黒島結菜(事務所HPより)
《いまだ続く朝ドラの影響》黒島結菜、3年ぶりドラマ復帰 苦境に立たされる今、求められる『ちむどんどん』のイメージ払拭と演技の課題 
NEWSポストセブン
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
公職上の不正行為および別の刑務所へ非合法の薬物を持ち込んだ罪で有罪評決を受けたイザベル・デール被告(23)(Facebookより)
「私だけを欲しがってるの知ってる」「ammaazzzeeeingggggg」英・囚人2名と“コッソリ関係”した美人刑務官(23)が有罪、監獄で繰り広げられた“愛憎劇”【全英がザワついた事件に決着】
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市首相「12.26靖国電撃参拝」極秘プランほか
NEWSポストセブン