泉氏は中学2年だった(撮影/内海裕之)
万博会場全体が巨大な宇宙基地のようなイメージでした。ウルトラマンシリーズの中に、ゴモラという1億5千万年前の恐竜が見つかり、それを万博で展示しようとしたら輸送の途中で覚醒して暴れ出し、万博会場のある千里丘陵でウルトラマンと戦うという話がありました。行ってみたら、そんなウルトラマランやセブンのSFセットの世界が現実の大阪の郊外に存在していたという感じ。でも、足下を見るとみんな暑さに負けて地べたに座り込んでいた(笑い)。そのギャップが面白かった。
3月15日に万博が開幕し、同じ月の31日によど号ハイジャック事件が起こった。そのよど号には万博のマークが入っていました。ハイジャック犯たちが出した声明文にあったのが「我々は明日のジョーである」という言葉で、同じ月の24日には力石徹の葬儀が行なわれていました。また、万博が終了して2か月余り後の11月25日には三島由紀夫が割腹自殺をしました。そんな騒々しい時代の一コマとして万博が記憶されています。
●いずみ・あさと/1956年生まれ。東京文化、昭和時代のカルチャー、街歩き、路線バスなど多方面に詳しく、著書多数。近著に『1964 前のオリンピックのころを回想してみた。』(三賢社)
※週刊ポスト2020年3月27日号