「テレビを見ることで受動的な情報は得られますが、自分で物事を考えていないので脳はあまり使っていない。そのため視聴し続けると、脳の中の記憶を司る領域の活動が落ち、徐々に認知機能が衰える。さらにテレビ漬けの生活で人と会話しないことも脳の機能低下を招き、認知症につながります」(北村氏)

 他人と交流しないことの健康リスクはデータでも裏付けられている。健康長寿の研究を行なうJAGES(日本老年学的評価研究)プロジェクトが、65歳以上の高齢者約1万2000人を対象に調査したところ、同居以外の人との交流が週1回未満の場合、要介護2以上になるリスクが1.4倍、認知症の発症リスクが1.39倍になったという。

 自宅に居続けることのリスクは、想像以上に高いのである。

 とはいえ、積極的に外出して新型コロナへの感染リスクを高めるわけにもいかない。北村氏が勧めるのは、自宅でできるストレッチや体操だ。

「ふくらはぎは“第二の心臓”といわれます。かかとの上げ下ろしをしてふくらはぎの筋肉を動かすと、血行が良くなると同時に筋トレにもなります。1セット10~20回を2セットくらい行なえば十分でしょう。椅子に座った状態で、ゆっくり立ち上がったり座ったりを繰り返すスクワットも効果的です」(北村氏)

 また、家にいても「外とつながること」は可能だ。

「離れた家族や友人との電話の回数を増やしたり、メールのやりとりをすることで、脳の活性化につながるとともに、心の健康を保つことにも役立ちます。高齢の親がいる人は、いつもより多めに連絡してあげることを心がけましょう」(北村氏)

“自宅待機”生活を健康的に過ごしたい。

※週刊ポスト2020年4月3日号

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