「免疫力を下げる要因になるのは脱水と睡眠不足です。特に体の水分量が少ない高齢者は意識してこまめに水分補給をしましょう。また、予防策として家に閉じこもると、あっという間に筋力が落ちてしまいます。家の中でも日中は活動的に過ごし、夜しっかり眠れるよう生活サイクルを整えましょう」
◆医療との向き合い方を見直す機会に
“治療薬がない”“検査もしてもらえない”と一時はパニックになった。でもそれは“病気になったら即、医療機関で薬をもらえば治る”という日本人の意識、慣習の影響もあると米山さんは指摘する。
「医学は多くの人を助けている一方で、決して万能ではないことを知っておくべきです。そして体の声を聞くべき。ウイルスに感染して高熱が出るのは、まさに免疫を上げて闘いながら“休め”と言っている。せきが出るのはウイルスを体外に出して減らし、自ら治そうとしているわけです。
最近、かぜなどは熱をむやみに下げず、脱水にならないよう食事を摂らせるために解熱剤を使うといった、上手な薬の使い方も浸透し始めていますが、まだまだ“とにかく薬で”という人も多い。
通常、ウイルス感染症は、やがて人が免疫を獲得して重症化しなくなり、必ず収束します。もちろん今回の新型コロナウイルスの抗ウイルス薬が開発され、予防ワクチンもできれば、脅威も季節性インフルエンザ程度になるでしょう。
だからこそ、地道な手洗いと免疫力を高める生活の大切さを見直してみてください」
なお新型コロナウイルス感染が疑われる場合は、医療機関に直接行かず、まずかかりつけ医に電話で相談を。また、
●かぜの症状、37・5℃以上の発熱、強いだるさ、息苦しさが2日以上続く場合は、各都道府県の「帰国者・接触者相談センター」へ
●症状に不安がある、一般問い合わせは厚生労働省相談窓口/0120・565653(9時~21時)へ
【Profile】
米山公啓さん●米山医院院長・作家。聖マリアンナ大学医学部卒。神経内科を専門とし、脳卒中、老人医療にも取り組み、認知症などに関する講演でも活躍中。東京都あきる野市にある米山医院で診療を行う傍ら、医療実用書、医学ミステリー、小説、エッセイなどの執筆にも精力的。
※女性セブン2020年4月9日号