原宿駅で最後の「お召し列車」を記念撮影する国鉄職員。1986年撮影(時事通信フォト)

原宿駅で最後の「お召し列車」を記念撮影する国鉄職員。1986年撮影(時事通信フォト)

 東京駅の赤レンガ駅舎や国立駅舎のように、原宿駅の木造駅舎は“復原”はおろか“復元”ですらない。こうした表現も原宿駅の木造駅舎が解体されるかもしれないという不安を増幅させている。

 これまで、JR東日本は東京五輪閉幕後の夏に解体するというスケジュールを示していた。東京五輪は新型コロナウイルスの影響で延期になったが、原宿駅舎の解体スケジュールが影響されることはない。

 いまだ明確な解体スケジュールは公表されていないが、「解体後の跡地に商業施設などが入る駅ビルが建設される計画は決まっている」(JR東日本東京支社広報課)という。

 JR原宿駅は1日の平均乗車人員が約7万5000人。隣接する東京メトロ千代田線と副都心線の明治神宮前<原宿>駅は約5万4000人。駅を使う人だけで13万人。

 そうした駅利用者に加え、近隣の渋谷・新宿・青山といった繁華街からも多くの人が原宿へ流れてくる。そうした集客力を考慮すると、原宿駅は優良資産でもある。

 JR東日本や渋谷区からは、単に駅舎として使うのは経済的な損失で、もったいない。その資産価値を最大限に活用したいという思惑が透けて見える。JR東日本は慈善団体でも歴史・文化を継承する団体でもない。

 純然たる民間企業だから、自社の利益を第一に考えるのは自然といえば自然な話でもある。それでも、やはり慣れ親しんだ原宿駅の木造駅舎が消えてしまうとしたら、そこに一抹の寂しさを覚えるのが人情というものだろう。

 駅舎の役目を終えても市民の要望で保存・復原された国立駅。対して、解体後の動向は不明ながらも駅ビルを建設することは決まっている原宿駅。

 両駅は周辺環境も異なれば、住民・利用者の意識も大きく異なっている。また、行政・JR東日本の扱い方にも歴然とした差がある。

 原宿駅と国立駅はどちらも文化財と言っても過言ではない木造駅舎だが、その明暗は大きく分かれることになりそうだ。

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