1926年に建てられたJR国立駅の駅舎。2005年撮影(時事通信フォト)

1926年に建てられたJR国立駅の駅舎。2005年撮影(時事通信フォト)

 それでも、国立市は駅舎の保存を目指して解体された駅舎の部材を保管した。その後、国立市は駅南側の敷地を購入。そこに駅舎を復原させた。駅舎の復原にかかった費用は部材の保管代も含めて約9億6000万円と試算されたが、それらは国が市町村の都市再生整備計画に対して助成するまちづくり交付金の一部を活用。不足分は市の一般財源から捻出せず、ふるさと納税を募った。

 以前と同じように建物などを建て直すことは、“復元”と表現されるのが一般的だ。一方、2012年に開業当時の姿に戻された東京駅の赤レンガ駅舎は、“復原”と表した。

“復元”も“復原”も、建物などを過去の姿に戻すという意味では同じだが、“復原”は文化財建造物を修復する際に用いられる。国立駅舎でも、“復原”という言葉が使用された。そこには、“復元”よりも、強い思いが込められている。

 使用する言葉だけで判断することはできないが、一連の作業も含めて、東京駅と国立駅には駅舎保存への強い意志を感じさせる。そうした情熱が人を動かし、社会を動かした。

 そして、4月4日に国立駅舎はめでたく復原を果たす。

 他方、原宿駅舎の保存に関して、渋谷区の姿勢はどことなく他人事のような印象を感じさせる。国立市は、文化財指定を受けることで国立駅舎を残そうとした。

 一方、渋谷区は「文化財指定を受けるには時間もかかるし、手間も交渉も煩雑。そもそも、文化財指定を受けるものではない」(渋谷区都市整備部まちづくり課担当者)という理由から、原宿駅の文化財指定を見送った

 なにより決定的なのは、渋谷区とJR東日本に深い思惑のズレが生じていることだ。東京支社広報課の担当者は言う。

「原宿駅の木造駅舎に関して、JR東日本は復元ではなく建て替えと表現しています。解体してみないと、どの部材が使えるのか判断できません。そのため、『現段階では、できるだけ現状の木造駅舎に近い形で建て替える方針』としか申し上げることができません」

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