気になるのは、瀋陽市に現れた横断幕と同じ内容のものが北京の同じチェーン店でも目撃されていたという微博上の投稿だ。北京でも、同じ時期に同様の横断幕が見られたが、瀋陽市の店舗の横断幕が大きな騒ぎになったことで、北京の横断幕はすぐに取り外されたという。
ネット上では、ドーム型の半円形の掲示物は中国共産党宣伝部がよく使うもので、掲示する際は地元政府の指導と承認が必要だとの指摘が出ている。この指摘の通りだとすると、地元政府のプロパガンダという見方もできるだけに、この横断幕騒ぎの裏には厳しい反日、反米感情が潜んでいるといえそうだ。
ちなみに、瀋陽市は旧満州時代の主要都市だった「奉天」のことで、満州事変の発端となった柳条湖事件の現場は市内にあり、その跡地近くに「九・一八歴史博物館」が建設されている。ここには、中国側からみた「九一八事変」(満州事変)以降の「侵略」と「抗日戦争」の歴史が、ジオラマ等を多用した展示により描かれている。