国内

新型コロナ感染抑制の立役者 日本の「クラスター対策班」

安倍首相は「感染がいつ急拡大してもおかしくない」と話す(時事通信フォト)

 海外では新型コロナウイルス対策として、罰則規定を設けて国民に外出禁止を命じている国もある。フランスでは当面の間、必需品の買い物や通院を除き移動禁止とし、度重なる違反者には最高で約45万円の罰金。イギリスでも全国民に自宅待機を命じ、違反者には罰金が科せられる。

 しかし、日本は3月31日時点で「外出の自粛要請」「他県への往来の自粛要請」など、法的権限を行使した強権的措置はない。東京外国語大学教授の篠田英朗さんが説明する。

「日本の対策は、徹底した都市封鎖を行っている中国のような“権威主義型”でもなく、いわば“努力要請型”。諸外国が導入している措置と比べたら、格段に穏健な措置です。日本人は、ひとつの事柄を遂行する際に、しっかりと実践する人が多い。あくまで要請なのに、外出の自粛、イベントの中止や延期など、国民一人ひとりの自発的な努力も大いに関係しています」

 米国在住のジャーナリスト・冷泉彰彦さんは、感染抑制の立役者として「クラスター対策班」の存在を挙げる。

「クラスター対策班は、厚生労働省と感染症の研究者を中心として構成されているチーム。日本ではあまり報じられていませんが、クラスター(感染集団)が発生したらそれを潰すという任務を、ここ2か月間、徹底的に行ってきました。日本の死亡率の低さは、この対策がある程度功を奏していたのではないかと思います。この方式が、海外から『日本式』と呼ばれ成功のモデルケースになっています」

 クラスター対策班は、クラスターが発生したら感染者の周囲の濃厚接触者を特定。濃厚接触者を徹底的に検査し、そこから新たな感染者が発生しないように努めている。

「クラスター潰しに集中できるのは、日本国民が各々感染を予防していることで、検査数を抑えることができているためです。検査件数が増えれば、クラスター潰しに当てられる“体力”が減ってしまう。そういう意味で、日本式が成功している背景にも、国民の努力があるといえます」(前出・篠田さん)

 感染拡大防止に全力で取り組み、健闘を続けてきた日本。しかし、ここにきて風向きに変化が現れた。3月の第4週目から東京都で感染者数が急増。まさに感染爆発寸前の局面を迎えている。

「日本は、欧米諸国での感染爆発にともなって、これらの国からの入国禁止や、帰国者に対する14日間の隔離を行うなど対策を強化しました。しかし、こういった措置が始まると聞いて、直前に駆け込みで入国した人が相当数いるはず。保菌はしているが無症状の人たちが、自覚なくウイルスを持ち込んで、感染者数を増やした原因になったと考えられます」(前出・冷泉さん)

関連記事

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン