死者数を増やさないためにも、重大局面のいまこそさらなる団結が必要だ。しかし、先が見えない自粛生活に息が詰まり、“コロナ疲れ”を感じる人が増え始めている。この“低感染率”を、いつまでキープできるかわからない。
「国民の意識が低下すると、これまで必死に築き上げてきた堤防が低くなり、一気に決壊するということになりかねない。意識という名の堤防をいかに維持するかというのが、今後の課題になるでしょう。そのためには、医療従事者など、現場で対応に当たっている人への特別な支援や、イベント中止や飲食業の営業休止にともなう経済負担を負う人々への重点的な経済支援などを導入するべきです。自発的にイベントを中止した人が損をして、強行した人は得をするというのは、あまりにも不公平。意識が高い人に負担が大きく、無責任な人には負担がない。これでは、やがて全員が無責任に流れてしまいます」(前出・篠田さん)
仮に東京都がロックダウンしたとしても、日本式が崩壊してしまったということではない。ドイツの公共メディア『ドイチェ・ヴェレ』は、3月25日に「中国に近いにもかかわらず、日本では大規模な感染が発生していない。日本人は感染拡大を遅らせるために何をしているのだろうか?」という主旨の特集を展開した。
その中で、「握手や頬にキスをする代わりにお辞儀をする日本の挨拶、幼少期から教えられている基本的な衛生教育などが、感染を遅らせる役割を果たしている」と分析。手洗い、うがい、マスクの着用は日本人にとって日常生活の一部であり、新型コロナが発生する前から当たり前の習慣として根付いていることに、大きな注目を寄せている。
「公衆衛生面の意識の高さは、大きなアドバンテージに変わりない。これまで同様に日本式を維持し、習慣化しながら本格的なロックダウンを行えば、局面を早く乗り越えられる可能性があります」(前出・篠田さん)
日本人の“努力”にも限界がある。もっと現実的な政府のサポートが求められている。
※女性セブン2020年4月16日号