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2020.04.04 16:00  NEWSポストセブン

コロナ禍で小さなバーを潰すことに決めた47歳店主の嘆息

4月、人通りが減った歌舞伎町一番街(時事通信フォト)

4月、人通りが減った歌舞伎町一番街(時事通信フォト)

 そうか――ついにその話かと思った。一連のコロナ騒動以降、とくに三月に入ってからは全然客が入っていなかった。店に客が来ないとかこれからどうなるのかなど店の将来の話に及ぶこともあったがあくまで愚痴程度、店は小さく酒とつまみ程度、従業員もいないし小塚さんも本業のデザイナーの仕事はある。主に広告やチラシのデザインだが、独身一人暮らしの小塚さんが生活するには十分だし大丈夫だと聞いていた。まして開店してまだ1年たらずだ。

「広告の仕事も少なくなってね、いまはまだ先々月分が入るからなんとかなってるけど、自粛ばかりでどうなるかわからない」

 小塚さんが言うには、パチンコのチラシやポスター、ポップの売り上げが減ったことが大きいという。一般チラシは安いが、やはりパチンコは金払いがいい。ポスティング用の「不動産売ります買います」的なチラシやリフォーム営業のチラシといった小口の仕事も減った。広告デザインと言っても華やかなのはごく一部で、小塚さんのような地道な細々とした仕事をこなすデザイナーが大半だ。

「デザイン仕事で生活して、店はトントンの収支、充実して楽しかったんだけどね」

 未曾有の有事、真っ先に影響を被るのはシビアな社会とダイレクトにつながっている自営業者と非正規労働者だ。それからしばらくして、じわじわとサラリーマンが首を絞められることになる。今回のコロナはまさに未曾有の有事だ。

「まあ嘆いてもしょうがないよね、山一ショックもリーマンショックも、3.11の時ですら大変は大変だけど、東京でサラリーマンやってる分にはどこか他人ごとだったよ。それが世界中に疫病が蔓延するなんてね」

◆コロナウイルスで帰省しなくちゃいけない場合もあるんだよ

 小塚さんは国立大学を卒業後、広告代理店に就職したエリートだ。芸大や美大卒でない小塚さん、社会人になってから独学でデザイナーとしての力をつけ、雑誌や書籍のエディトリアルデザインもその後転職した出版社で身につけた。個人事務所でデザインの仕事をしながら半分趣味でバーを開く、まさに理想の独身貴族だが、そんな幸せが一瞬で壊れてしまうのが天災というどうにもならない運命だということを、我々は先の震災で知ったはずだ。天災は誰が悪いわけでもない。天災が人災になることはあっても、端緒において誰の責任でもない。ましてや伝染病ならなおのこと、ペストしかり、エボラ出血熱しかりだ。

「見切りが早いと言われるかもしれないけど、早く見切らないと本当に詰んじゃうからね。人間、撤退時期は間違わないようにしないと」

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