「関根節」も聞けなくなってしまった(時事通信フォト)
「親父が役所に届けるのを忘れてたの(笑い)」
「だけど、おかげで僕は戦争に行かずに済んだ。大正15年生まれの男性には召集令状が来たけど、同じ学年でも僕は徴兵されなかった。確かに親父のズボラのおかげで助かったわけです(苦笑)」(2017年5月5日・12日号)
つまり本当の享年は93ではなく94だったということになる。人柄だけでなく「年齢」でも鷹揚だった。
「プロ野球ニュース」で共演が多かった野球評論家の江本孟紀氏がいう。
「人当たりがよく、解説でも決して選手や監督の悪口は言いませんでした。でも、実は物凄く勝ち気で、芯の強い人。現役時代は勝敗が決まったゲームで代打に出されると、1回もバットを振らずに帰ってきて抗議の意志を示したそうです。解説でも、つまらないゲームなら何も喋らずにいることも。野球と自身には厳しかった」
今年2月には、関根氏からヤクルトの監督を引き継いだ野村克也氏が亡くなったばかり。2人は指導者として、お互いを認め合う間柄だった。今頃、あの世で野球談義に花を咲かせているのかもしれない。
※週刊ポスト2020年4月24日号