外出自粛の中で高齢者の姿を見るとつい心配になる若者たちがいる一方で、感染しても軽症で済む可能性が高いために危機感がない若者も少なくない。阪神・藤浪晋太郎投手(26才)が若い女性らと大人数で飲み会を開いて感染したのは最たる例だ。また、大学やバイトが休みのため、実家に“コロナ疎開”をして「クラスター(感染集団)」を招くケースも見られた。
「いまの若者の多くは、慎重で賢い。でも一部には、“カリギュラ効果”という『ダメと言われると反発してついやりたくなる』心理が働いてしまう人もいるでしょう。
また、こうした時期こそなじみの飲食店やライブハウスなどに出かけることで、お金を使い経済を回すべきという主張に同調した人も一定数いるのではないか。取材すると『SNSで誘われて断れなかった』という若者もいる。NOと言いにくい世代で、『行かないの?』との圧力に負けてしまうこともあるようです」
危機感のない一部の若者に、高齢者から「こんなに新型コロナが流行したのは、若者が出歩くからだ。自分たちはかかったら死ぬのに」と怨嗟の声が上がるのも無理はない。
新型コロナは、高齢者と若年層で明らかに重症化リスクが違うことで、両者は違ったスタンスで感染と向き合うことになった。しかも、外出自粛の社会の重苦しい雰囲気にも流されて、世代間で、お互いに眉をひそめ合う“分断”も起きつつある。
「本来、それぞれがどのような理由や事情で外出しているのかがわかれば、お互いの立場を慮ることができます。
特にひとり暮らしの高齢者の多くは、情報や体力面で若者より弱い。できれば彼らに若い世代から“困りごと、ありませんか?”と遠くからでも声をかけてあげてほしい」
社会一丸にならないと、いずれにせよ感染終息は遠のき、外出自粛は長引くばかり。実は、思いやりや寛容な気持ちこそが、最大の感染対策なのかもしれない。
※女性セブン2020年4月30日号