ただし、新型コロナの蔓延で旅行業など一定の業種に大変な影響が出ているのは事実。リーマンショック以上の世界同時不況も心配されていますが、内定時にはまったく予想できなかった経営状態の突然の悪化で、会社存続のため人員削減の必要性がある場合には、解雇が適法にできる整理解雇の観点からの検討も必要です。

 整理解雇は、

(1)人員削減の必要性
(2)解雇回避措置の相当性
(3)人選の合理性
(4)解雇手続きの相当性

の4つの要件から判断されます。会社に人員削減の必要性があり、解雇回避努力を尽くしている場合には、解雇される従業員の選定基準が問題になりますが、内定者は会社で働いて生活をしている現在の労働者よりは不利だと思います。

 それでも手続きの相当性は重要です。そこで内定取り消しの必要性や、いかに取り消し回避努力をしたのか、詳しく説明を聞くのがよいでしょう。納得できなければ、労働事件として、都道府県の労働局長に相談することができます。

【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。

※週刊ポスト2020年5月8・15日号

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