金与正氏は後継者の最有力候補(写真/AFP=時事)
「ハンソルの現在の消息は不明ですが、父・正男を襲った北朝鮮の刺客から身を守れるセキュリティの高い国、つまり中国か米国に匿われているはずです」
五味氏は、ハンソル氏が“大混乱を治める金一族の後継者”という役割を担う可能性は高い、と指摘する。そして米中どちらの保護下にあるかによって、2つのシナリオが描けるというのだ。
「中国に守られているとしたら、習近平・国家主席がハンソルを平壌に送り出し傀儡政権のトップに据えて北朝鮮の安定化を図ろうとするでしょう。それには米国も異議を唱えにくい。
米国にいる場合も同様です。米国はハンソルを金一族の正統な後継者に祭り上げて支援し、北朝鮮民主化の切り札として使うという思惑を持つはずです。ただ、その場合は中国が黙っていないでしょう」(同前)
これまで貿易問題など事あるごとに対立してきた米中の争いが、“北の4代目”をめぐり、さらに激化する可能性があるということだ。
米中関係に重大局面(写真/AFP=時事)
※週刊ポスト2020年5月8・15日号