国際情報

韓国総選挙勝利の与党候補 反逆の検事総長に“倍返し”予告

予想を超える圧勝だった(EPA=時事)

 新型コロナがまだ完全には収まらない韓国で、4月15日、総選挙が実施された。2月頃の世論調査では野党が優勢と伝えられていたが、結果は与党の圧勝。議員定数300に対し、与党「共に民主党」は、“子政党”という位置づけの比例代表政党「共に市民党」と合わせて過半数を超え、3分の2に迫る180議席を獲得した。進歩系政党が議席の過半数を得たのは16年ぶりである。

 なぜ与党は巻き返しに成功したのか。韓国事情に詳しいジャーナリストの前川惠司氏は理由をこう分析する。

「新型コロナが選挙に影響したのは間違いなく、有権者が混乱よりも対策を優先したと考えられます。与党の李洛淵(イ・ナギョン)前首相は選挙運動の第一声を、新型コロナの感染防止のため、支持者を集めず街頭にマスコミだけを集めて発した。一方の保守系野党『未来統合党』代表は、従来通りの集会で第一声をあげた。これが野党の時代感覚と危機感のなさと捉えられ、さらに野党候補者のセウォル号事故の遺族を中傷した暴言問題などもあり、最後まで差を詰められなかった」

 保守系野党は朴槿恵前大統領を擁護するか否かで相変わらず一枚岩になれず、惨敗を喫することとなった。ただ、この選挙結果に対してはネット上で疑問の声が上がっている。

 今回の選挙では、期日前投票率が22.69%と過去最高を記録した(全体の投票率も66.2%と2000年以降の総選挙で最高を記録した)。人が集まる投票会場に足を運びたくない有権者が多数いたと考えれば、それ自体は不思議なことではないが、開票結果に疑問を抱く人が少なくないという。韓国人作家の崔碩栄氏が語る。

「これまでの総選挙では、期日前投票と当日投票で与党・野党の得票率にほとんど差が出ないのが普通だったが、今回は大きな差が出た。当日選挙の開票では与党と野党で拮抗し、わずかに野党が勝っていたのが、期日前投票の開票では大差で与党が勝った。それも地域によってバラつきがなく、ほぼすべての地域で12%与党が上回っていたのです。

 さらに、与党圧勝の報を受けた与党幹部が、普通なら大喜びするところをなぜか表情が硬いままだったのも不審がられていて、韓国では『不正選挙だ』という声が上がっている。そんな不正をするには全国の選挙管理人を買収する必要があり、陰謀論として切り捨てるべきですが、野党支持層の中には未だに不信の声が後を絶たない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《凜々しきお姿》成年式に臨まれた悠仁さま 筑波大では「やどかり祭」でご友人とベビーカステラを販売、自転車で構内を移動する充実したキャンパスライフ
NEWSポストセブン
趣里(左)の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊(右=Getty Images)
趣里の結婚発表に沈黙を貫く水谷豊、父と娘の“絶妙な距離感” 周囲が気を揉む水谷監督映画での「初共演」への影響
週刊ポスト
宮路拓馬・外務副大臣に“高額支出”の謎(時事通信フォト)
【スクープ】“石破首相の側近”宮路拓馬・外務副大臣が3年間で「地球24週分のガソリン代」を政治資金から支出 事務所は「政治活動にかかる経費」と主張
週刊ポスト
自身のYouTubeで新居のルームツアー動画を公開した板野友美(YouTubeより)
《超高級バッグ90個ズラリ!》板野友美「家賃110万円マンション」「エルメス、シャネル」超絶な財力の源泉となった“経営するブランドのパワー” 専門家は「20~30代の支持」と指摘
NEWSポストセブン
高校ゴルフ界の名門・沖学園(福岡県博多区)の男子寮で起きた寮長による寮生らへの暴力行為が明らかになった(左上・HPより)
《お前ら今日中に殺すからな》ゴルフの名門・沖学園「解雇寮長の暴力事案」被害生徒の保護者らが告発、写真に残された“蹴り、殴打、首絞め”の傷跡と「仕置き部屋」の存在
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
《外道の行い》六代目山口組が「特殊詐欺や闇バイト関与禁止」の厳守事項を通知した裏事情 ルールよりシノギを優先する現実“若いヤクザは仁義より金、任侠道は通じない”
NEWSポストセブン
志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン