まだすべての問題を入手したわけではありませんが、国公立68校では、81文字以上書かせる設問はおおよそ8割くらいが出しています。大学入試改革は国公立二次試験も対象で、国立大学協会(国大協)が3年前に記述式を導入すると決めて8割で実施されるようになりました。これは大学入試改革の成果です。

 一方、私立大はどうか。著作権等の問題で、まだ約70校分しか入試問題を入手していませんが、約4割が実施したというものの、81文字以上書かせる設問はその内の2割でした。つまり、全体のおおよそ1割に過ぎない。他の9割は実施していない、もしくはやったふりをした大学が多かった。実施した大学でも、日本にありがちな「目的と手段の取り違え」が起きていて、とにかく書かせればいいというものが多かったように思います。

 勘違いしている人が多いのですが、マークシートではないからといって、抜き出し(引用)問題や、空欄補助(穴埋め)問題などは、意図している記述式とは呼びません。例文中の文章を引用するだけのような問題ではなく、書いてあることを咀嚼して、自分の知識と合わせて頭で再構成して表現することを求めるのが記述式問題で、思考・判断・表現を問うものです。

 すべての入試問題を見たわけではないので、漏れがあるかもしれませんが、私立のなかで記述式と呼べるような設問で、それなりの分量をしっかり書かせているのは、関東では1000文字の小論文を課している慶應と、早稲田、それから津田塾くらいでしょう。関西にも何校かあります。

 今年、早稲田は文学部で100字、法学部・政経学部で180字の記述式問題を出しました。今まで記述式問題のなかった文化構想学部でも記述式の出題がありました。

 津田塾の場合は以前から記述・論述問題を出しています。学芸学部国際関係学科の国語では、最大で200文字書かせる良問を出しています。ちゃんと受験生に考えさせ、表現させる問題です。

 記述式の採点は大変ですが、津田塾は受験者数がそれほど多くないのと、やはり教員陣が充実していて出題能力、採点能力があるからできるのです。文字量が多くなるほど採点が難しくなり、受験者数が多い大学だと大変な作業になります。

 国公立ではすべての大学が二次試験で記述式を導入するという方針になったときに、多くの私立は受験者数の規模が大きく実施が難しいので、日本私立大学協会から「記述式は共通テストで実施してほしい」と要望されて共通テストで導入することになったのですが、本来は個別にやるべきことなのです。

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