休業要請に応じた事業者への協力金は自治体ごとに有無、金額や基準がまちまち(時事通信フォト)

休業要請に応じた事業者への協力金は自治体ごとに有無、金額や基準がまちまち(時事通信フォト)

 実はこの電話窓口で筆者に対応した女性も、コールセンターに派遣された臨時スタッフで、仕組みが把握できておらず、その都度責任者に確認しながら回答している状況にあることを打ち明けた。事情はわからないが、無店舗型事業者は風俗に限らず、マッサージやエステ、内装業者でも補償の対象外だという。誰に責任がある、ということを追求したいわけではないが、いくら緊急事態とはいえ、行政のいい加減さがとにかく目立つ。

「営業再開を決めて、一部の女性にはまた働いてもらっています。みんな、今日働かないと生活に困窮するという事情がある人たち。翻弄された上に補償もない。だから働き続けるしかない」(堀田さん)

 筆者は以前「補償なき休業」を求められた飲食店が営業を続けている実態を取材し記事にしたが、まさに同じロジックだ。いや飲食店はまだ良い。少ないかもしれないが、補償はされる。こちらは全く補償がない。そもそも、今回の緊急事態下で国や自治体からの給付金、補償金にはどんな意味があるのか、ということを今一度考えてみたい。第一は「ウイルスの感染拡大を防ぐ」目的で、だから二番目に「働かないでくれ」という要請があり、そこに対して金が保証される、ということだ。

 金の話ばかりがクローズアップされがちな中で、この事実を前提にした議論がなされていない、そう感じるのは筆者だけではないだろう。業態業種によって「金を出す、出さない」と細かな線引きをしていれば、働かざるを得ない人は、要請や命令に背いてでも働く、これは自明の理だ。その結果感染拡大は食い止められなくなり、不幸はさらに大きくなる。

 ウイルスとの戦いに疲弊し、混乱し続ける中で、結局我々が倒すべき敵はなんだったのか、解決すべき問題はなんだったのか、うやむやになっているような気さえするのだ。

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