「本を読むと、現実の世界で出会うより、何倍も多くの人の人生に触れられます。すでに亡くなっている人にも再会できます。そういう意味で、本は、出会いがいっぱいです。
そしてそれが実話でもフィクションでも、私は本を読むことで、“人は見た目だけではわからない多面性を持っている”という現実を学びました」(西郷さん)
人と会えなかったはずの休校中に、本を通してどれほど多くの人と出会えることか。そしてそのことが休校明けの子供の成長に大きくかかわるであろうことを、覚えておいてほしい。
【西郷孝彦さんがおすすめする3冊】
『茶色の朝』
大月書店/フランク・パヴロフ(物語)、ヴィンセント・ギャロ(絵)
「2003年に話題となったフランスの寓話。日本の社会状況を目の当たりにしている中高生に読んでもらいたい」(西郷さん・以下同)
『ぼくとペダルと始まりの旅』(『奇跡の自転車』から改題)
新潮社/ロン・マクラーティ(著)
「43才、体重126kgのパッとしない人生を送るスミシーが、20年以上消息を絶っていた姉の眠るL.A.に自転車で向かう。それは心の救済と新たな人生への旅。まるで一緒にアメリカ大陸横断の旅をしているかのような本」
『タングステンおじさん 化学と過ごした私の少年時代』
早川書房/オリヴァー・サックス(著)
「原作者は、映画『レナードの朝』で知られる脳神経外科医。少年期のオリヴァーが、次々と化学に興味を抱いていく様子が描かれます。忘れてしまったかつての何にでも夢中になれた“子供の心”が鮮明に描かれています」
【こんな本もおすすめ!】
「詩を読むことは、想像力を豊かに育みます。谷川俊太郎の詩集をいつもポケットに。『after the quake』は、村上春樹の短編集。英語で読むと内容が掴みやすく、理解が深まります。ニコラス・スパークスの恋愛小説は、女の子におすすめ。英語が得意ならぜひ原書で読んでみるといいですよ」
※女性セブン2020年6月4日号