ローン地獄から「持ち家信仰」はますます薄れるか
いよいよ、マンション市場は「コロナ後」に突入する。売る側も、買う側も「今後マンションが値上がりする」とは考えていない。最も強気な向きは「下がることはない」という見方をしている一方、「暴落」すると予測するのも懐疑的だ。
幸いなことに、政府は給付金などの様々な施策を行うことで、景気の急激な悪化を食い止めようとしている。従って、中古マンション市場も分かりやすい形で暴落するようなことはなさそうだ。
どのあたりで落ち着くのかは、何年か時間が経たないと見えてこないだろう。ただ、様々な事情で売り物件がいつにないボリュームで増えることだけは確かだ。あとは市場が増えた供給をどの程度吸収できるかということになる。
ひとつ言えることは、マンション市場は静かに、そして厳然と動く。そして、数年後にはマンションに対する価値観が今とかなり変わっていることも考えられる。
「買うよりも借りよう。そのほうが安全だ」
人間は、ちょっとした未来のことも分からない。ましてや35年間もの間、安定的な収入を見込めるなんて、公務員の他はほんの一部のサラリーマンだけである。そういう粛然たる真実をコロナ禍は教えてくれた。
そのことを最もドラスティックに反映するのは、首都圏の中古マンション市場かもしれない。