まず、マンションの管理現場や建築現場での人手不足は、もう10年ほど前から顕著になってきた。その分、人件費は上昇する。
4年ほど前からは、マンションの管理員不足が鮮明化した。マンションの管理員は、定年退職した元管理職のサラリーマンなどが多い。ごみ捨てや清掃という主な作業のほかにも、一定の事務処理能力や住民とのコミュニケーション能力も求められる。ある程度の社会経験を積んだ方にふさわしい仕事ではなかろうか。
これまでは、団塊の世代という豊富な人材供給源があった。しかし、彼らは高齢化した。団塊の世代が管理員の標準的な定年となる70歳に達し始めたのは2018年。今やこの世代はすっかり70代。それどころか、間もなく後期高齢者の年齢に達する。
管理員となる人々の分母が、急速に細っているのである。だから賃金や労務費、採用費などの上昇が管理会社の負担となる。その分、管理組合から支払われる業務委託費を上げざるを得ないというカラクリだ。
しかし、何年も前から業務を受託している管理組合へは、値上げの要請をしにくい。だからその分は新規契約分の委託費を高めに設定することで、企業収益のバランスを保っている現実もある。これが新築マンションの管理費高騰につながっているのだ。