次男と三男から贈られた王冠をかぶり笑顔に

 3月に入ると、病院では新型コロナの感染拡大の影響が出始める。3月5日には家族以外の面会は禁止になり、4月からは厳戒態勢が取られることになった。

「3月中は息子たちもお見舞いに行くことができましたが、4月は私だけに限られ、週に1度。それも遠くから顔を見るだけ。部屋の入口から声をかけて、“元気~? 荷物ここに置くよ~”と言うことしかできなかった」

 茅原さんは笠井アナにこう言われていたという。

「おれは死なないから、お願いだから来ないでくれ。ますみが感染しないために来ないでくれ」──。

 4月、笠井アナは全6回のの抗がん剤治療を無事に終え、4月30日には退院した。

「夫は志村けんさん(享年70)と岡江久美子さん(享年63)の死に衝撃を受けており、退院することに怯えているようでした。闘病によって体力も免疫力も落ちているなか、新型コロナの感染リスクを心底脅威に感じていたのです。

 だから夫は“セルフロックダウン”を徹底しています。私は自宅の床をアルコールで拭き、買ってきたものもすべてアルコール消毒。食事も作りおきはしません。暑くなってきて、菌が繁殖したら怖いからです。やりすぎと言われるかもしれません。でも、何かあったら、それで終わるかもしれない。とにかく後悔したくないんです」

 6月4日、「完全寛解」の診断を受けた笠井アナ一家はこれ以上ない喜びに包まれた。

「あとで知ったのですが、夫は“6月までに自宅に戻る”ことを目標にして闘病に励んでいたんです。今年の6月2日は私たち夫婦にとって30回目の結婚記念日。“自宅で祝いたい”という思いで、つらい治療にも耐えていたんです。

 いまはがんが完全に消え、追加の治療は必要ない状態です。振り返ると、病気になって大変なことも多かったですが、家族の会話が増えるなど、いいこともありました。私がちょっとだけ優しくなったのも、夫はうれしいみたいです」

 そう言うと、茅原さんは、優しい笑みを浮かべた。ステージ4からの寛解という“奇跡の180日”を実現させたのは、この笑顔の力だったに違いない。

※女性セブン2020年6月25日号

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン