◆成果主義の大いなる“誤解”
「テレハラ」防止に最も有効な解決策は、社員がサボってもよい仕組みをつくることであり、その意味では性善説より性悪説に立つべきだろう。
サボってもよい仕組みとは、仕事へのインプット、すなわち仕事ぶりを問わないかわりに、アウトプット、すなわち仕事の成果を厳しく問う制度である。
「成果を厳しく問う」というと、かつて流行した成果主義を連想する人が多いと思う。そして厳しいノルマを押しつけられたり、成果をあげるように煽られたりする、別のタイプの「テレハラ」が起きるのを心配されるかもしれない。
しかし、そこには誤解がある。「成果を問う」マネジメントには、高い成果をあげて大きな報酬を得るタイプと、一定の成果をあげることが求められているタイプとがある。一般に欧米企業では、少なくとも非管理職の場合、後者のタイプが主流で決められた成果、あるいは契約した役割を果たしさえすればよい。成果をあげて「稼ぐ自由」より、成果をあげている限り「サボる自由」があるといえよう。
アメリカのグーグル本社には敷地内にゲームセンターやプール、テニスコートなどがあり、昼間でも社員が自由に利用している。欧米だけではない。中国のIT系企業を訪ねると社員が床に寝転がっているし、日本の外資系証券会社で営業の仕事をしている私の知人は、夏場は毎日自宅で昼寝をし、冬はスケートに興じていた。
ただ、成果をあげているか、役割を果たしているかどうかで評価するためには、一人ひとり仕事の分担が明確になっていることが重要なポイントになる。
今回のコロナ禍でも、仕事の分担が明確になっている企業ではテレワークへスムーズに移行している。同じ業種でも外資系企業で比較的問題が少ないのはそのためである。またテレワーク導入を機に雇用から業務委託契約に就業形態を切り替えたケースもあるが、遠慮なくサボれるのでストレスを感じず働けるようになり、生産性も上がったという声もある。