睡眠負債はこれでチェック!

「アメリカで長距離トラックの運転手を調査したところ、マイクロスリープが多発していたことがわかっています。2012年、関越自動車道でツアーバスが防音壁に激突し、乗客7人が死亡した大事故がありました。運転手が睡眠時無呼吸症候群だと診断されており、マイクロスリープが原因だと考えられています」

 西野さんは、睡眠負債による経済損失の大きさは計り知れないと指摘する。

「睡眠負債がたまっていると、脳の働きは酩酊状態のときと同じくらいのレベルにまで低下します。前述の事故も合わせると、日本だけでも年間約15兆円もの経済損失が睡眠負債によって出ています」

 さらに近年、睡眠負債は寿命に悪影響を及ぼすこともわかってきた。

 アメリカの研究では、睡眠時間が平均よりも3時間短い人は、6年後の死亡率が1.3~1.4倍ほど高いという結果が出ているのだ。

「睡眠負債がたまると、ホルモンの乱れなどから血圧や血糖値が上昇したり、神経機能の低下によりうつ病になりやすくなったりする。がんの発症リスクも上がります」

 しかも、“負債”というからには、借金と同じで、簡単に帳消しにはできないのだ。こんな実験がある。

「ほんのわずかな睡眠負債でも、“完済”には非常に長い時間が必要です。アメリカで、健康な男女8人を対象に一日中好きなだけ眠ってもらう実験をしたところ、1日につき平均40分というわずかな睡眠不足を解消するまでに、毎日12~14時間の睡眠を3週間も続けなければなりませんでした」

 2018年のOECD(経済協力開発機構)の調査では、日本人の睡眠時間は平均して7時間22分。調査対象国の中で最も短い睡眠時間だった。西野さんが指摘する。

「この数字はあくまで平均。日本人の40%は、1日の睡眠時間が6時間以下だといわれています。充分な睡眠が取れているかどうかは、休日の眠り方でわかります。普段からきちんと眠れていれば、休日と平日の睡眠時間はそれほど変わらない。“休日は平日よりも2時間以上長く眠る”という人は、睡眠負債がたまっている可能性が非常に高い」

 あなたも睡眠負債がたまっている可能性がある。画像のチェックリストで確かめてほしい。

※女性セブン2020年7月9日号

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