ライフ

深刻な日本人の睡眠負債 日本だけで年間15兆円の経済損失

睡眠が充分にとれなかったり安定しなかったりすると…(写真/GettyImages)

 約2か月間続いた外出自粛要請によって、生活リズムが乱れた人も少なくない。東京都在住の会社員・伊藤あき子さん(52才・仮名)もそのひとりだ。

「緊急事態宣言が解除されてからも、テレワークが中心です。通勤時間がなくなった分、朝寝坊しているせいか、仕事と家事に追われてかなりの“夜型生活”に。睡眠時間は以前と変わらないはずなのに、先日は大事なネット会議中についウトウト…。なんだか最近、常に眠くて、体もだるい気がします」

 ただの眠気だとあなどってはいけない。あなた自身や周囲の人間に死をもたらすほどの重大リスクが隠れているかもしれないのだ。

◆“抗えない居眠り”が死に至る大事故に

 慢性的な睡眠不足が続くと、私たちの体はどうなるのか。米スタンフォード大学医学部精神科教授で、『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)の著者、西野精治さんが解説する。

「長期にわたって不足した睡眠のことを“睡眠負債”と呼びます。借金を重ねるのと同じように、睡眠不足が続いて“返済”できないと、自覚のないままに心身に大きなダメージを与えます」(西野さん・以下同)

 睡眠負債がたまると、無意識のうちに瞬間的に居眠りをする「マイクロスリープ」という現象が起こる。

 マイクロスリープとは、自分でも気づかない間に1~10秒ほどの居眠りをして、意識が飛ぶ現象のこと。3~4日ほど睡眠不足が続くと起こりやすくなる。

「“強制的に脳を休ませる”という防衛反応なので、自分の意思では止められません。多くの場合、“ウトウトしてしまった”という自覚すらなく、目が覚めてから“いま、居眠りをした”という実感すらないのが特徴です。たとえば、車の運転中にマイクロスリープが起こると、大事故につながってしまいます」

 事実、原因不明の事故の多くは、マイクロスリープによるものだといわれている。

 たとえば、1989年にアラスカ沖で発生したエクソン・バルディーズ号原油流出事故は、運転していた航海士のマイクロスリープが原因だという説が有力だ。“抗えない居眠り”により、4万キロリットル以上の原油が海に放たれたのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
政治学者の君塚直隆氏(本人提供)
政治学者・君塚直隆氏が考える皇位継承問題「北欧のような“国民の強い希望”があれば小室圭さん騒動は起きなかった」 欧州ではすでに当たり前の“絶対的長子相続制”
週刊ポスト
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン