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香港でジャーナリストへの暴行多発 92%が命の危険感じた

香港の未来はどうなるのか

 6月下旬、中国が国家安全法を香港に導入することに抗議する市民のデモを取材中のジャーナリストに対して、香港警察が繰り返し暴力を振るい、報道を妨害した。これを受け、香港ジャーナリスト協会(HKJA)と香港フォトジャーナリスト協会(HKPJA)は、正式な抗議文を国連人権委員会に送ったことが明らかになった。

「香港では警察によるジャーナリストへの暴力が常態化しており、香港の憲法ともいうべき香港基本法によって保証されている報道の自由は踏みにじられているのが実態だ」とHKJAなどは主張している。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。

 抗議文によると、香港のジャーナリストの80%以上が取材中に何らかの形で警察の暴力を経験しているのだという。過去1年間に暴行を受けたり、取材を邪魔されたとする報道機関所属やフリーのジャーナリストら143人が香港警察苦情委員会に抗議書を提出したが、処分された警官は1人もいなかったという。

 HKJAのクリス・ユン会長は「市民の抗議活動を取材するジャーナリストの状況は悪化している。警察官は現場でジャーナリストを見ると、どこの会社に所属しているかを聞き、名前をチェックし、『ここは危険だから、すぐに立ち去った方が無難』と説得する。ジャーナリストが聞き入れないと、デモ参加者と間違えたようなふりをして、取材中の彼らに暴行を加えている」と指摘する。

 このため、香港のジャーナリストの92%が「取材中に命の危険を感じている」と回答しているほか、98%が「取材を妨害された経験がある」と答えている。

 また一部のジャーナリストは「今後は海外のジャーナリストが香港当局によって、報道ビザを発給されなくなったり、当局からの報復を恐れて、対中批判などの記者会見を香港で開く人々が激減するのではないか」と指摘している。

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