いまだ“会食ゼロ”だという
永田町を覆う分厚いガラスの天井を破った高市早苗首相(64才)だが、船出直後から難しいかじ取りを迫られている。気づけばいつ崩れるかわからない崖の上で、ギリギリの闘いを強いられていた。【前後編の前編】
日本初の女性首相が誕生してから1か月あまり。新政権発足から100日間を指す“ハネムーン期間”を楽しむ余裕もなく、高市首相は崖っぷちに立たされている。高市氏の台湾有事に関する国会答弁に端を発した日中関係の冷え込みは、さまざまな分野で大きな影響を及ぼしている。
「浜崎あゆみさん(47才)をはじめ、中国で予定されていた日本人アーティストの公演が当局の指導で軒並み中止に追いやられました。輸出規制や日本への旅行キャンセルも相次ぎ、経済への影響も懸念されます」(全国紙記者)
悪化する日中関係によって起きる国内外の混乱は、いまだ沈静に至っていない。こうした苦境に本人は忸怩たる思いでいるという。
「スパッと物申すのが高市さんの持ち味ですが、発した一言が外交問題にまで発展した事態に、首相という立場の重みと難しさを再認識しているはずです。ここから挽回への思いは強いでしょう」(永田町関係者)
思わぬ逆風にさらされているが、12月1日に今年の新語・流行語大賞に選ばれた「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」の名言通りのハードワークぶりを見せている。
「首相就任後、国会答弁に備え午前3時に議員宿舎を出て首相公邸入りして話題になりましたが、いまも睡眠時間は毎日2〜3時間。一度執務室にこもるとペンを走らせる音だけが響き、閣僚からの電話にも出ないほどの根の詰めようで、周囲からは心配の声が上がっています」(前出・永田町関係者)
政治評論家の有馬晴海さんは高市氏の体調を気遣うひとりだ。
「高市さんは、気になることは全部自分で調べないと気がすまないタイプ。誰かに任せるということをせず、食事や睡眠の時間を削って猛勉強を続けています。最近、彼女に呼びかけ肩をポンと叩いたというぼくの知人は、『骨と皮というくらいかなりやせてしまっていた』と案じていました。倹約家な彼女はお古を着回すことも多いんですが、いまや昔の服を着るとブカブカ。“誰かに借りたの?”と驚くほどです」
かねて「飲み会より政策の勉強がしたい」と語ってきた高市氏。党内でのコミュニケーションの少なさがささやかれながらも「ガラスの天井」を打ち破って初の女性首相に上り詰めたが、その先には「ガラスの崖」が待っている。これは組織運営が危機的状況に陥ったとき、変化を促すためにあえて女性をリーダーに選ぶ現象を指す言葉だ。
「選ばれた女性が失敗すると“女だから”と叩かれる。崩れやすく転落の危険を抱えるもろさから『ガラスの崖』と呼ばれます。石破内閣の支持率が凋落して政権運営が行き詰まるなか、麻生太郎自民党副総裁(85才)ら党の重鎮の計らいで総裁に選ばれたのが高市さんです。しかし、火中の栗を拾う役目でもあり、いつガラスの崖が崩壊してもおかしくない状況で、なんとかもがこうと必死なんでしょう」(前出・永田町関係者)
政治ジャーナリストの安積明子さんも高市氏の基盤の弱さを案じる。
「高市さんは有権者の心をつかむのは上手ですが、それと党内で多数派を作ることは別問題。今回の日中騒動でも、本来なら中国に近い議員たちがすぐ政党外交を展開するはずなのに、対処は遅かった。そもそも総裁選では小泉進次郎さん(44才)に議員票で紙一重で勝ったにすぎず、党内での支持基盤は依然として不安定です」
身内からも着々と包囲網が敷かれるなか、本人は孤独な闘いを続けている。
「かつてお酌係や男同士の過激な下ネタが嫌で飲み会には行かないと語った高市さんですが、総裁選前は同僚議員に電話をかけまくるなど党内の仲間づくりに尽力していました。しかし、そんな助けはもう不要ということか、就任から1か月半経っても政治家や財界人との会食はゼロのままです」(前出・永田町関係者)
※女性セブン2025年12月18日号
