とは、思いがけない妊娠に悩む女性を支援するNPO法人ピッコラーレの副代表で助産師の土屋麻由美さんだ。

「動揺する気持ちは当然だと思いますが、そんなときこそ、『いちばん困っているのは娘だ』ということを思い出してほしい。まずはお子さんの話を聞いて受け止める姿勢を見せることが大切です」(土屋さん)

「相手は誰?」「10代で育てられるわけがないじゃない」など、責めたてるような言葉を子供に投げかけてしまう親が多いが、どれもNGだ。

「このような言葉を浴びせられたら、せっかく勇気を振り絞って相談したのに、子供は絶望し、殻に閉じこもってしまいます。特に、一方的に“中絶しなさい”は厳禁。“いままで命は大事だと言ってきたのに、私の子供の命はどうでもいいんだ”と失望させてしまいます」(土屋さん)

 本人がどうしたいか、その気持ちを聞くことが最も重要だ。若年で妊娠した経験のある染矢さんは、こう力説する。

「私自身、20才のときに思いがけない妊娠をしました。絶対に怒られると覚悟して、相当の勇気を出して親に伝えたのですが、予想を反して怒られなかったんです。それどころか、“産むにしてもそうじゃないにしてもあなたの意見を尊重するよ”と言われて、すごく心強かった。それで彼ともよく相談し、納得したうえで中絶することに決めましたが、その際にも母から、“自分の選択にどれだけ前向きになるかで、その価値は変わるからね”と言われたことが、大きな心の支えになりました」

 とはいっても性知識の乏しい10代の子供が、答えを出すのは難しい。そこで、産むならどうすべきか、中絶するならどうすべきかなどの情報を与え、自分で選択できるように導くのが親の役目だ。

「大切なのは10代の子供に“自分で決めた”と思わせること。この思いがあるかないかで、今後の人生が大きく変わります」(宋さん)

 親は、長い目で見てよい方向に子供が向かうよう誘導し、見守ることが大切なのだ。

※女性セブン2020年7月23日号

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