既婚女性(婚歴のある女性も含む)のためのコンテスト「ミセスインターナショナル」2020日本大会には、十人十色の人生を送ってきた女性たちが出場した。そのなかから、60代になってコンテストに初挑戦する橋口さんと、日本の介護技術に誇りをもつ現役介護士でシングルマザーの藤澤さんの1日を追いかけた。
◆橋口まゆみさん(63)
毎日のウォーキングを欠かさないという橋口さん。2人の娘を守るために始めた剛柔流空手を自宅のスタジオで練習している。コンテストへ向けて「14cmのヒールを履くと背筋が伸びます」とポージングの練習も欠かせない。
「幼少時代は母から精神的な虐待を受けて対人恐怖症でした。大人になってからもその症状に苦しみながら結婚、出産を経て30代で離婚。2人の子供を育てながら末期がんと診断された母の介護にも追われ、60代になってやっと自由の身になれました。ミスコンへの挑戦は60代にしてようやく好きなことに挑戦できるようになった自分へのご褒美です。結果は残せませんでしたが悔いはありません!」
◆藤澤りかさん(42)
現役介護士の藤澤さんは、重度の障害を持つ子供から老人まで、体力勝負の訪問介護をしている。5年前に訪問介護の会社に就職し、営業所の所長にスピード出世した。仕事を終えて自宅に帰ると、「料理男子になってくれて嬉しいです」という中学2年生の息子と夕食の準備をする。
「私は介護士という職が持つ辛くキツいイメージや、シングルマザーといえば貧困という暗い印象を変えたくて、このミスコンに挑戦しました。私が明るく楽しく挑戦することで同じ境遇の人に勇気を与えたかったんです。結果的にはタイトルは獲れませんでしたが、私の大きな目標は日本の素晴らしい介護技術をゆくゆくは世界に、まずはアジアに広めるべく、もっともっと精進したいと思います!」
●取材・文/河合桃子、撮影/高橋定敬
※週刊ポスト2020年7月24日号