ライフ

関東風と関西風が混在する鰻王国・浜松の行列が絶えない名店

うな重(きも吸、香物付き)3300円

 鰻といえば浜名湖、浜名湖といえば鰻と連想する人は多いだろう。明治時代に全国に先駆けて鰻の養殖が始まった浜名湖を擁する浜松市内には、100軒以上の鰻料理店が点在するとされる。東京と大阪のほぼ中間地点に位置する同市では、「関東風」「関西風」の両方の調理法による鰻料理を楽しむことができる。

 JR浜松駅からタクシーで東へ約15分。行列が絶えない名店として知られる「炭焼うなぎ あおいや」を訪れると、噂通り、店の外に順番を待つ人々の姿があった。

のれんの青は「青鰻」にちなむ

 店名とのれんの青色は、最良の環境で育ち青味を帯びた「青鰻」にちなんでいる。使うのは、通常サイズより大きめの約250グラムの国産青鰻が中心。季節に応じて良質の産地を選び、仕入れているという。店で一番人気の「うな重」は、1尾の身がのるにもかかわらず、3300円というリーズナブルな価格。食べる前から頬が緩む。

 この店の調理法は「関西風」。関東風と異なり、腹開きをし、蒸さないで地焼きする。火力と遠赤外線効果が高い備長炭でこんがり焼かれた鰻は、外側はパリッ、中はふっくらとして柔らかい。噛み締めると香ばしい風味が口いっぱいに広がる。タレは地元・浜松や常連も多い愛知の人々の好みに合わせ、やや甘めの名古屋風にしているという。

「白焼」(2750円)も楽しみたい

 浜松城などがある浜松市街から、明媚な景色が広がる浜名湖へ足をのばすのもおすすめだ。歌川広重の浮世絵「東海道五十三図会」のうち、浜名湖そばの宿場を描いた作品には串に刺さった蒲焼が登場しており、古くから鰻がこの地の食文化として定着していたことがうかがえる。

 浜名湖畔にも鰻料理店が多く、昼は関西風、夜は関東風と食べ比べするのも一興だ。吟醸王国・静岡の美酒とともに東西の鰻尽くしを楽しみたい。

風光明媚な浜名湖の風景

浜名湖の上を渡るかんざんじロープウェイ

浜松城は「出世城」と呼ばれる

遊覧船に乗って浜名湖クルージングも楽しめる

曹洞宗 秋葉山

弘法大師が舘山寺に開創したときに仮堂として使ったとされる「穴大師」

●炭焼うなぎ あおいや 静岡県浜松市南区飯田町616-2
【営業時間】11時~13時45分(L.O.)、17時~19時45分(L.O.)※売り切れ次第終了【定休日】月曜日、臨時休業あり
うな重(きも吸、香物付き) 3300円、白焼 2750円

◆撮影/岩本 朗、取材・文/上田千春

※週刊ポスト2020年7月24日号

関連記事

トピックス

麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
松本智津夫・元死刑囚(時事通信フォト)
【オウム後継「アレフ」全国に30の拠点が…】松本智津夫・元死刑囚「二男音声」で話題 公安が警戒する「オウム真理教の施設」 関東だけで10以上が存在
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
9月1日、定例議会で不信任案が議決された(共同通信)
「まあね、ソーラーだけじゃなく色々あるんですよ…」敵だらけの田久保・伊東市長の支援者らが匂わせる“反撃の一手”《”10年恋人“が意味深発言》
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
8月に離婚を発表した加藤ローサとサッカー元日本代表の松井大輔さん
《“夫がアスリート”夫婦の明暗》日に日に高まる離婚発表・加藤ローサへの支持 “田中将大&里田まい”“長友佑都&平愛梨”など安泰組の秘訣は「妻の明るさ」 
女性セブン
経済同友会の定例会見でサプリ購入を巡り警察の捜査を受けたことに関し、頭を下げる同会の新浪剛史代表幹事。9月3日(時事通信フォト)
《苦しい弁明》“違法薬物疑惑”のサントリー元会長・新浪剛史氏 臨床心理士が注目した会見での表情と“権威バイアス”
NEWSポストセブン
海外のアダルトサイトを通じてわいせつな行為をしているところを生配信したとして男女4人が逮捕された(海外サイトの公式サイトより)
《公然わいせつ容疑で男女4人逮捕》100人超える女性が在籍、“丸出し”配信を「黙認」した社長は高級マンションに会社登記を移して
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン