ライフ

壇蜜「教科書でおなじみの有名作品に出会えるなんて」と感激

壇蜜が聖徳記念絵画館へ

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズ。2人が訪れたのは、明治神宮外苑・聖徳記念絵画館だ。

山下:明治天皇の御一代記を描いた巨大な壁画を常設展示している聖徳記念絵画館では、半数の壁画が日本画で表現されています。

壇蜜:ご生誕から明治11年までを描く40枚が日本画です。教科書でもおなじみの『大政奉還』や西郷隆盛と勝海舟の歴史的会談を描いた『江戸開城談判』など、誰もが知るあの有名な作品とまさかここで出会えるなんて。歴史で勉強した資料の本物がこんな都会にあって感動しています。

山下:まずそこに驚かれる人が多いようですね。『大政奉還』の作者・邨田丹陵は優れた歴史画家で、四国の金刀比羅宮にある障壁画も素晴らしい。今は忘れられた存在ですが、当時は大家として知られていました。

壇蜜:壁画を通じ、時の流れと共に埋もれてしまった一流画家の魅力を再発見する機会にもなりますね。

山下:画家が秘めた情熱も作品から伝わってきます。夜間に行なわれる儀式の様子を描いた『大嘗祭』は漆黒の闇を白く描き、白黒の反転した絵からはポップな雰囲気が漂う。伝統的な日本画の中でも新機軸を打ち出そうとする作者・前田青邨の意欲が感じられます。

壇蜜:すごく前のめりな勢いが伝わります。斬新でありながらも、明治天皇のお顔を隠して描かないところは伝統に則っています。

山下:輿を描いて明治天皇を表現した『農民収穫御覧』など、日本画作品には天皇の象徴としての側面が色濃く映し出されています。

前田青邨の『大嘗祭』

聖徳記念絵画館は新国立競技場のすぐ近くにある

【プロフィール】
◆やました・ゆうじ/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団長。

◆だん・みつ/1980年生まれ。タレント。グラビア、執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『結婚してみることにした。壇蜜ダイアリー2』(文藝春秋刊)。

●明治神宮外苑 聖徳記念絵画館【開館時間】通常:9時~17時(最終入館16時30分。※当面の間16時閉館、最終入館15時30分に短縮)【休館日】年中無休(臨時休館あり)【入館料】施設維持協力金500円【住所】東京都新宿区霞ヶ丘町1-1(国の重要文化財指定)

撮影■太田真三、取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2020年7月24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
前回は歓喜の中心にいた3人だが…
《2026年WBCで連覇を目指す侍ジャパン》山本由伸も佐々木朗希も大谷翔平も投げられない? 激闘を制したドジャースの日本人トリオに立ちはだかるいくつもの壁
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相、16年前にフジテレビで披露したX JAPAN『Rusty Nail』の“完全になりきっていた”絶賛パフォーマンスの一方「後悔を感じている」か
女性セブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
「秋らしいブラウンコーデも素敵」皇后雅子さま、ワントーンコーデに取り入れたのは30年以上ご愛用の「フェラガモのバッグ」
NEWSポストセブン
八田容疑者の祖母がNEWSポストセブンの取材に応じた(『大分県別府市大学生死亡ひき逃げ事件早期解決を願う会』公式Xより)
《別府・ひき逃げ殺人》大分県警が八田與一容疑者を「海底ゴミ引き揚げ」 で“徹底捜査”か、漁港関係者が話す”手がかり発見の可能性”「過去に骨が見つかったのは1回」
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
クマによる被害が相次いでいる(getty images/「クマダス」より)
「胃の内容物の多くは人肉だった」「(遺体に)餌として喰われた痕跡が確認」十和利山熊襲撃事件、人間の味を覚えた“複数”のツキノワグマが起こした惨劇《本州最悪の被害》
NEWSポストセブン