歌舞伎町では都職員らが感染防止呼びかけの巡回をおこなっている(時事通信フォト)

歌舞伎町では都職員らが感染防止呼びかけの巡回をおこなっている(時事通信フォト)

 しかし、阪大教授らが3~4月に、日本、米国、英国、イタリア、中国の5カ国を対象に行なった調査で、「感染は自業自得だと思う」と答えた人の割合は、日本が11.5%で2位の中国(4.8%)をダブルスコア以上で引き離して、貫録のトップでした。以下、イタリア(2.5%)、英国(1.5%)、米国(1%)と続きます。「Yes」と答えた人は、自分は絶対に感染しない根拠があるんでしょうか。感染したとしても、自分が悪かったと思うんでしょうか。

 感染者をバッシングしたり、回復したあとも「ケガラワシイ存在」として扱ったり、戦ってくれている医療従事者を差別したりする人は、言うまでもなく、押しも押されもせぬ「人でなし」です。たとえ欲望があっても、「してはいけないこと」をグッとこらえるのが人間の務め。「そういうことをしてしまうのが人間の習性」という言い草は、「男なんだから痴漢してしまうのが当然」と開き直っているのと同じです。

 見逃しがちですが、じつはもっともタチが悪いと言えるのが、したり顔で「そういう状況で感染したんだったら、非難されても仕方ない」と判定を下している人。自分では「良識派」のつもりでいるけど、やっていることはバッシングや差別と五十歩百歩です。

 こういう言い方をする人は、バッシングや差別をしている側を非難する気はありません。「非難されても仕方ない」という言い方で、自分では手を汚さないまま、結局は同じように非難しています。クラスでいじめが起きたときに、いじめられている側の“落ち度”を探し出して「いじめられる側にも責任がある」と言ってみたり、冒頭のように性犯罪の被害者に対して“落ち度”を責めたりするのと、何ら変わりありません。

 コロナウイルスに対する恐怖や不安が蔓延して、誰もが怒りっぽくなっています。だからといって、バッシングや差別に精を出す人が増えるという展開は、情けないほどにストレート。しかも、感染者を叩いたからといって、自分や世の中の感染リスクが低くなるわけではなく、検査を敬遠する人が増えるなどして逆にリスクが高まってしまうでしょう。

 今こそ意地とプライドの見せどころです。自分の中で、あるいは口に出して「きれいごと」を声高に叫びましょう。「きれいごと」こそ、私たちが進むべき方向を示す道しるべです。甘い誘惑に負けて「感染者が差別されるのは仕方ない」「感染は自業自得だ」と言いたがる闇の勢力が跋扈していますが、ひるんでいる場合ではありません。

 雑念に惑わされず「憎むべきはウイルス」「感染した人は気の毒な被害者」という大前提を貫きましょう。それもまた、大人として胸を張って生きていくために必要なコロナとの戦いです。コロナに負けるな!

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