ライフ

壇蜜が明治神宮ミュージアム訪問、「馬車の装飾が神々しい」

エドアルド・キヨッソーネの「明治天皇御尊影」「昭憲皇太后御尊景」

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏とタレントの壇蜜という、日本美術応援団の2人が、日本の美術館の常設展を巡るシリーズをスタートさせた。今回2人が訪れたのは、明治神宮ミュージアムだ。

山下:明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祀り大正9年に創建されました。今年11月に明治神宮鎮座百年祭を迎えるにあたり、記念の行事の一環として昨秋オープンしたのが、御祭神ゆかりの品々を展示する明治神宮ミュージアムです。

壇蜜:常設展の「宝物展示室」には御祭神である明治天皇と昭憲皇太后の御尊影が展示されています。とても写実的な肖像画ですね。

山下:描いたのは西郷隆盛の肖像画でも有名なイタリア人画家のキヨッソーネです。大蔵省紙幣寮に彫刻師として招かれて紙幣や切手などのデザイン、彫刻、製版に携わった人物ですが、皇族や高官の肖像画でも高い評価を得ました。明治天皇は写真がお嫌いだったため、宮内大臣の計らいでキヨッソーネは陛下が天覧相撲にお出ましの際に隣室から密かに拝写したそうです。

壇蜜:陛下に内緒で肖像画制作を進めた大臣の気持ちを思うと、なんともいじらしいというか……。国民に愛され、敬愛追慕の情から明治神宮が創建されたそうですが、陛下のお人柄が偲ばれるエピソードですね。

山下:御尊影が描かれた翌年の明治22年、憲法発布日に明治天皇・昭憲皇太后が使った国儀車が『六頭曳儀装車』です。両陛下が乗る馬車を拝観しようと街頭には当日人が溢れました。

壇蜜:窓越しにお姿が見えて感動したでしょうね。英国製の馬車に施された、金色の鳳凰や皇室の菊花紋章の装飾が神々しいです。

明治22年の憲法発布日に両陛下が乗車した英国製馬車

◇明治神宮ミュージアム
【開館時間】10時~16時30分(最終入館16時)【休館日】木曜(祝日の場合は開館/展示替え期間は休館)【入館料】一般1000円【住所】東京都渋谷区代々木神園町1-1

【PROFILE】
◆やました・ゆうじ/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団長。

◆だん・みつ/1980年生まれ。タレント。グラビア、執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『結婚してみることにした。壇蜜ダイアリー2』(文藝春秋刊)。

●撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2020年8月14・21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。アルバイトをしながら日本語を学んでいた
「ホテルで胸を…」11歳年上の交際相手女性・浅香真美容疑者(32)に殺害されたバダルさん(21)の“魅力的な素顔”を兄が告白【千葉・ネパール人殺害】
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
「秋の園遊会」に出席された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《秋の園遊会》 赤色&花の飾りで“仲良し”コーデ 愛子さまは上品なきれいめスタイル、佳子さまはガーリーなデザイン
NEWSポストセブン
(写真/アフロ)
《155億円はどこに》ルーブル美術館強盗事件、侵入から逃走まで7分間の「驚きの手口」 盗まれた品は「二度と表世界には戻ってこない」、蒐集家が発注の可能性も 
女性セブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
ミントグリーンのワンピースをお召しになった佳子さま(写真はブラジル訪問時。時事通信フォト)
《ふっくらした“ふんわり服”に》秋篠宮家・佳子さまが2度目の滋賀訪問で表現した“自分らしい胸元スッキリアレンジ”、スタイリストが解説
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン
遠藤
人気力士・遠藤の引退で「北陣」を襲名していた元・天鎧鵬が退職 認められないはずの年寄名跡“借株”が残存し、大物引退のたびに玉突きで名跡がコロコロ変わる珍現象が多発
NEWSポストセブン
「全国障害者スポーツ大会」を観戦された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月26日、撮影/JMPA)
《注文が殺到》佳子さま、賛否を呼んだ“クッキリドレス”に合わせたイヤリングに…鮮やかな5万5000円ワンピで魅せたスタイリッシュなコーデ
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《スイートルームを指差して…》大谷翔平がホームラン後に見せた“真美子さんポーズ”「妻が見に来てるんだ」周囲に明かす“等身大でいられる関係”
NEWSポストセブン
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン