室井:去年4月に内閣府が発表した想定だと、地震の大きさは東日本大震災を超えるマグニチュード9.1。津波の高さは34mというから、東日本大震災よりすごい。しかも、震源域が海岸に近いから、地震発生から2~3分で津波が襲ってくる場所もあるとか。本当に怖いですね。
鎌田:東日本大震災の死者2万人に対して、南海トラフ巨大地震では32万人。経済被害は東日本の20兆円に対して220兆円と、10倍以上。だけど、今から準備しておけば、被害は8割減らすことができるんです。
室井:ということは、先生の予測では、南海トラフ巨大地震が来るのは今ではなく、いつ頃なんでしょう?
鎌田:南海トラフはだいたい100年周期で地震を起こしているので、科学的データから見れば、次は2035年±5年。近いところをとってもあと10年先です。
室井:そうなんですか~。
鎌田:だから、それまでに備えをしておくことが大切なんです。日本の大動脈が寸断されるから、東京から宮崎県まで6000万人が影響を受ける。国や行政も備えてはいるけれど、それに頼ってはダメ。やっぱり自力で自分や家族を助けるようにしないと。これは南海トラフ地震に限らず、巨大地震に際しては、ライフライン関係の備蓄は最低1か月分はあった方がいいですね。
室井:1か月!? そうか、日本国民のほとんどが被災者だから、その間、誰も助けに来てくれないかもしれない、と…。
鎌田:そうなんです。だからぼくは今、辻説法みたいにして、一人ひとりに向けて訴えかけているんです。ここに30mの津波が来たらどうしますか、裏山まで逃げられるかどうか実際に歩いてみてくださいって。内閣府は発生確率を「30年以内に70%」としているけど、これだと誰も我が事として考えません。