室井:たしかに70%って言われても、どれだけ切迫してるんだか。先生みたいに「2035年±5年」と言ってもらえると、すごくわかりやすいですね。
鎌田:人間って、「納期と納品量」がわからないと動けないんですよ。2035年が納期で、納品量つまり被害が東日本大震災の10倍。本当はわかりやすくないとダメなんです。 で、ぼくは地震学者から批判を浴びて、背中にいっぱい矢が刺さってる(苦笑)。それを振り払いながら、一般の人たちに向けて発信しているんです。
室井:大変! だけど、期限がはっきりしていれば準備もしておきやすいですね。最短であと10年だったら、「それまでの10年で何をしよう」とか考えられますものね。
鎌田:期限を決めて動いて、来なかったらラッキー。来たら8割被害を減らせたでしょ、と。そういう情報の出し方でいいと思うんです。
◆室井滋/(むろい・しげる)富山県生まれ。女優。エッセイ・絵本も数多く出版し、女性セブンで現在『ああ越中ヒザ傷だらけ』を隔週連載中。本連載をまとめた旅エッセイ集『ヤットコスットコ女旅』は現在6刷のベストセラーになっている。
◆鎌田浩毅/(かまた・ひろき)東京都生まれ。理学博士。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は地球科学・火山学・科学コミュニケーション。近著に『理学博士の本棚』『富士山噴火と南海トラフ』『地学ノススメ』など。
※女性セブン2020年8月20・27日号