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三遊亭白鳥 現代の円朝ならでは劇的展開の『豚次伝』

三遊亭白鳥の魅力を解説(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、三遊亭白鳥の『豚次伝』についてお届けする。

 * * *
 今、ホール落語では間を空けて着席する定数半減方式が定着しているが、7月17日になかのZERO小ホールで行なわれた三遊亭白鳥独演会「白鳥ジャパンVol.8」は、4月に全席指定で前売り開始した時点では従来どおり最前列から間を空けずに配券されていた。その後定員半減開催に変更したのだが、配券した分をどうするのかと思ったら、ところどころ「この席の方は〇列×番にお移りください」と貼り紙がしてあった。座席移動でソーシャルディスタンスを確保する仕組みだ。

 白鳥は昨年「白鳥ジャパン」で長編連作『任侠流れの豚次伝』の練り直しを始めた。『豚次伝』は浪曲「清水次郎長伝」にインスパイアされた侠客物だが、登場するのは渡世ブタの豚次など動物たち。2013年に全10話が完成し、白鳥は2014年と2015年に池袋演芸場で10日間通し口演を行なった。自作の長編連作で寄席のトリを務めるとは圓朝ばりの偉業だ。

 この日は第10話『金毘羅ワンニャン獣の花道』がネタ出しされていたが、5月の「Vol.7」が中止になったため、そこで演るはずだった第8話『チャボ子絶唱』と第9話『人生鳴門劇場』が演じられた。

 秩父から男を磨く旅に出た豚次が上野動物園でアライグマ親子を助けてパンダ親分と決裂、行き着いた流山動物園で出会った象の大政の形見の牙を四国のゴリ長親分の墓に届ける旅に。掛川でメス猫マリー王女と対決する『雨のベルサイユ』、大阪のボス犬ドーベルマン権蔵と闘う『天王寺代官切り』、流山動物園から牛太郎が豚次を追って名古屋に来る『男旅牛太郎』……この「6話までのあらすじ」を語ってから8話へ。牛太郎がマリーに殺されたとの知らせを受けた流山動物園のチャボ子が名古屋に来てコンドルのジョージに重傷を負わされた後、東山動物園で牛太郎と再会。回復の後、彼らは力を合わせてジョージを倒す。

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