竜王戦決勝トーナメントはベテランが若手をはねのけた

 挑戦者決定戦がベテラン対決となった竜王戦の決勝トーナメントを振り返ってみよう。

 竜王戦1組優勝の羽生九段は、準決勝からの登場。相手は梶浦宏孝六段(26)。若手ながら竜王戦5組で優勝して決勝トーナメントに進出し、高野智史五段、石井健太郎六段、木村王位(当時)、佐藤康光九段と、実力者、タイトル保持者らを次々と撃破。破竹の9連勝で準決勝進出を決めた勢いに乗る棋士である。その若手有望株を相手に、後手番となった羽生九段は「横歩取り」に誘導し、激しい攻防の末、102手で若手を退けた。

 一方の丸山九段は竜王戦2組2位で、決勝トーナメントの初戦は同3組優勝の藤井棋聖(当時)だった。二人の対局は61手で千日手となった。指し直し局は藤井棋聖の先手で始まり、夕食休憩時の残り時間は藤井35分、丸山3時間31分と大差がついていたが、形勢はほぼ互角。71手目で藤井はついに一分将棋に突入。対する丸山の持ち時間は1時間17分。その後、丸山は慎重な指し回しで勝機をつかみ、116手で激闘に終止符を打った。

 藤井棋聖(当時)を破った丸山九段は、次の1組2位・佐藤和俊七段(42)との戦いを制すると、準決勝では、1組3位でこのところ好調が続いている久保九段相手に138手で勝利。決勝進出を決めた。

 羽生九段、丸山九段ともに強豪、勢いのある若手を破って来ているだけに、9月の中年決戦は見どころがいっぱいだ。

4人が8大タイトルを分け合う

 この数年、将棋界はAI研究で若手の台頭が著しい。現在のタイトル保持者は、10代が藤井二冠(王位・棋聖=18歳)、20代は永瀬拓矢二冠(叡王・王座)が27歳(※9月5日に28歳)、30代は豊島竜王が30歳、渡辺明三冠(名人・棋王・王将)が36歳となっている。4人が8つのタイトルを分け合い「4強時代」と名付けたメディアもある。

 50歳の挑戦者が挑むことになる竜王戦は、そういう意味では、昨年の王位戦(木村vs豊島)に次ぐ、ベテランの復権をかけた戦いである。棋戦は違うが、迎え撃つのは同じ豊島竜王という構図。昨年は中年の星・木村九段に王位の座を奪われた豊島竜王が、今回は竜王の座を死守できるかどうか。逆に50歳の新竜王が誕生するかどうか、これまた見ものである。

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