2000年代前半は今ほど下ネタを言っていなかった
思い返せば、5代目三遊亭円楽が司会を務め、回答者に桂歌丸、林家こん平がいた2000年代前半の『笑点』では、小遊三は現在ほど下ネタを言っていなかった。今年と同じ回数で比較するため、2003年前半の大喜利26回(1月5日から6月29日まで)を調べてみると、小遊三は169回答している。主要ネタ3つの数と確率は以下になる(※1つのネタに両方の要素がある場合は、それぞれ1カウント)。
【1位】下ネタ:34回(20.1%)
【2位】イケメン・キザ:13回(7.7%)
【3位】泥棒:25回(14.8%)
同時期、他のメンバーは計38回も下ネタを言っており、小遊三1人の数を上回っていた。そのうち、小遊三いじりは2回だけ(4月20日・歌丸、5月25日・好楽)。つまり、下ネタ全72回中36回が小遊三絡みで、ちょうど半分の50.0%だった。改めて表に直すと、こうなる。
【小遊三回答の下ネタ率】2003年20.1%→2020年39.8%
【下ネタの小遊三占拠率】2003年50.0%→2020年80.3%
比較すると、回答率は倍増し、占拠率は8割を超え“小遊三の下ネタ独占状態”が起こっている。
2004年にこん平が病気療養のために休演し、2006年に5代目円楽、2016年に歌丸が司会を降りた。キャラクターの強い彼らが去ったことで、番組全体として小遊三の個性を相対的に浮かび上がらせる必要があったのかもしれない。
たとえば、林家木久扇は2003年前半26回の大喜利で、9回の下ネタを繰り出していた。しかし、今年はまだ5回しかない。
「いや~ん、ばか~ん」という自身のヒット曲の披露は、両期間とも1回ずつだけ(2003年6月29日、2020年8月23日。今年4月26日に三平が「木久扇師匠は意外と無邪気」と答えた後、木久扇が“無邪気”の表現としてなぜか発したが、回答以外の場面のため除外)。
17年前は青江三奈のヒット曲『伊勢佐木町ブルース』のネタを4月20日、5月25日、6月15日と3回使っていたが、今年は1回も登場させていない。また、2020年の小遊三の下ネタ頻出ワード1位の『スッポンポン』は、2003年はこん平が1回使用(1月26日)しているが、今年の他のメンバーは誰も言っていない。