つまり、小遊三自身が下ネタを増やし、他のメンバーは控え目にすることで、そのキャラはより一層際立っている。番組は変わっていないようで、少しずつ動いているのだ。
『笑点』には、マンネリという批判が絶えない。しかし、既存の客を逃さないように大胆な改革は敢えてせず、このような“目に見えない変化”を起こすことで、視聴者を飽きさせないように工夫を凝らしている。だからこそ、長寿番組になっているのだろう。
■取材・文/岡野誠:ライター、松木安太郎研究家、生島ヒロシ研究家。本人や関係者への取材、膨大な一次資料、視聴率などを用い、好楽のドヤ顔、小遊三下ネタ研究以上に丹念な考察をした著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)が話題に。巻末資料では田原の1982年、1988年の全出演番組(計534本)の視聴率やテレビ欄の文言、番組内容などを掲載している。